腓腹筋は下腿三頭筋の内で一番大きく、一番も浅い層にある筋肉です。腓腹筋の他、ヒラメ筋と足底筋も下腿三頭筋の一部です。この3つが合わさってアキレス腱となります。そして踵骨後面に停止しています。今回はその中の腓腹筋の解剖について詳しく紹介していきます。
腓腹筋の名前の由来
腓腹筋の「腓」は下腿のことを、また「腹」はおなかのことを表しています。
【Gastrocnemius】
「gaster」:ギリシャ語の「腹」
「cnemi」:ギリシャ語の「脚」
下腿三頭筋:triceps surae:tricepsは「3つの頭」、surae は「下腿」を意味しています。
腓腹筋の位置
腓腹筋は膝関節後面から下腿後面の表層にあります。ヒラメ筋と足底筋と融合しアキレス腱になり踵に付着しています。
腓腹筋の起始と停止
起始:
・内側頭の起始:大腿骨内側上顆
・外側頭の起始:大腿骨外側上顆
停止:
アキレス腱を経て踵骨隆起
腓腹筋はどんな作用の筋肉?
・膝関節の屈曲
・足関節の底屈
腓骨筋は膝関節の後面を通過し、起始が停止より近位にあるため、この筋肉が下腿後面を大腿骨後面へ向かって引くことで、膝関節の屈曲が起こる作用があります。
また、腓腹筋は足関節の後面を通っていて、起始ぶが停止部より近い位置にあるため、踵骨を後方に引くことで足関節の底屈の作用が起こります。
腓腹筋の役割の大きな特徴
腓腹筋は非常に強い足関節の底屈筋であり、強力な底屈が必要とされる時に働きます。弱い底屈が、特に膝関節が屈曲してる状態で必要とされる際には、腓腹筋はほとんど働きません。
腓腹筋は足関節の安定性に重要な役割を果たしています。また、腓腹筋は脛骨が腓骨を超えて前方へ滑らないように、後方から足関節を安定させています。
これに加えて、腓腹筋は夜中によく痙攣(足がつる)を起こしますが、そのような場合には、この筋肉をストレッチしたり拮抗筋に力を入れたりすることで和らげて回避することができます。腓腹筋は下腿の輪郭を形成する重要な筋肉でもあります。
腓腹筋の機能的解剖
腓腹筋はとても力強い筋肉で、起始部が2つある二頭筋で下腿を支配しています。その二頭筋は足首側のアキレス腱まで簡単に触診することができます。腓腹筋は主に瞬発力に適した「速筋線維」で構成され、急激な力を引き出す事が得意ですが、疲労するのも早い筋肉線維です。
ヴィジュアル機能解剖学 南江堂
この特徴は重量上げや短距走、高跳び などで爆発的な力を生み出す時に役立っています。底屈時にヒラメ筋は腓腹筋に対しての共働筋となります。
腓腹筋とヒラメ筋のどちらが活動的であるかは、膝の状態によって変わってきます。膝が伸バしている途中か、伸び切ってる場合…スクワットの動きで上半身を持ち上げる動作や座っている状態から立ち上がろうとする時、もしくはジャンプ動作時は、腓腹筋の方が活動的です。
ヴィジュアル機能解剖学 南江堂
一方で膝が屈曲している場合(リラックスしながら歩いている時や止まって立っている時)は、ヒラメ筋の方が活動的です。
腓腹筋が硬いとどうなる?
1膝関節痛になる
腓腹筋は膝の関節と大きく関わっていて膝関節に痛みが出ます。
2足関節の動きが制限される
膝の伸展位での足関節の背屈が制限されてしまいます。
3足がむくみやすくなる
腓腹筋が硬くなることによって血流が悪くなり、血管に炎症を起こし、血管の外に水分が放出されます。これがむくみの原因になっているのですね。
4足底腱膜炎を発症
腓腹筋(ふくらはぎ)が硬くなることによって足裏に影響が出ることがあります。足裏の足底腱膜(そくていけんまく)にストレスがかかり、足底腱膜炎になることがあります。
足底腱膜は足の指の付け根から踵につながっている腱膜です。それがトゲのように伸びて神経に当たると激しい痛みが出ます。
腓腹筋が弱いとどうなる?
腓腹筋が弱くなると強い底屈ができなくなります。
腓腹筋のその他の詳細
腓腹筋の共働筋
膝関節の屈曲
・半膜様筋
・半腱様筋
・大腿二頭筋
・膝窩筋
・薄筋
・縫工筋
足関節の底屈
・ヒラメ筋
・後脛骨筋
・長母趾屈筋
・長趾屈筋
・短腓骨筋
腓腹筋の拮抗筋
膝関節の伸展
・大腿直筋
・中間広筋
・内側広筋
・外側広筋
足関節の伸展
・前脛骨筋
・長趾伸筋
・長母趾伸筋
・第3腓骨筋
腓腹筋の神経支配
・神経:脛骨神経
腓腹筋の血管供給
・血管:腓骨動脈
腓腹筋の関連痛領域
・腓腹全体
・足首の内側面
・縦足弓(足底の内側面)
その他の検査対象筋
・下腿のその他の筋肉すべて
・梨状筋