関節はどのように動くのか?その種類や呼び方とは

身体の動きは関節において生じます。以前は「関節の種類と名前や機能的分類」をお話ししましたが、今回は身体の動きを表す用語を説明していきます。

身体の動きは動く部位または関節の動きに応じて名称がついています。関節の多くは様々な動きができますが、なかには 屈曲と進展しかできない関節もあります。この差は関節の構造の違いにあると言えるでしょう。

今回は関節の動き方の種類と代表的な関節の呼び方を紹介します。

関節の動き方の呼び方

関節の可動域の測定方法

関節の可動域は角度計という器具を使って、関節角度の変化を測定することで分かります。 測定はまず、角度計の軸と関節の運動軸を同一に合わせます。

関節が動くにつれて、角度計の両腕を関節を構成している骨の長軸に平行に合わせます。角度計から角度を読み取ると関節の可動域が分かります。

関節の可動域の測定方法

関節の動き方の種類一覧

関節の動きを表す用語は関節に特有のものがあり一見複雑に見えますが、ここでは皆さんが理解しやすいように動きや身体の部位でグループ分けして解説していきます。

関節の動き方の種類1

関節の動き方の種類2

関節の屈曲とはどんな動き?

関節の角度が狭くなる動き…曲げる動きを「屈曲」と呼びます。どの関節においても屈曲は可能です。それは関節を構成する2つの骨のなす角度がより小さくなる動きの関節の動きのことです。

関節の屈曲


例えば、肘を曲げる時は肘関節を屈曲すると表現します。同様に膝を曲げる時は膝関節を屈曲すると表現します。屈曲はたいていの場合、前方への動き(膝と足指の関節は例外)です。

腕を前に持ち上げた時は肩関節の屈曲、大腿を前に持ち上げた時は股関節の屈曲という動きになります。同様に手の指を前方に曲げる動きも屈曲です。もちろん、ここでいう「前方」とは 解剖学的肢位を基準としています。

屈曲は関節の角度を減少させる働きでもあります。前腕と上腕ののなす角度が減少していく動きは肘の屈曲と表現されます。同様に大腿と下腿のなす角度が減少していくことは 膝の屈曲といいます。以下に屈曲の使用例をあげますので、参考にしてください。

関節の屈曲の使用例

1:肘関節の屈曲は前腕が上腕に近づく動きです。

2:肩関節の屈曲は上腕をまっすぐ前方(上方ともいう)に持ち上げるような動きです。

3:指節関節および、手関節の屈曲はそれぞれ、手指が手関節に近づいていくことおよび、手関節が前腕に近づくような動きです。

4:頭部の屈曲と頚部の屈曲は、外観的には同じように見えますが、厳密には動きが、どの関節で特異的に生じているかによって異なります。頭部の屈曲は後頭環椎関節のみによって生じる頭部を前に曲げる動きです。
また、頭部の屈曲は頚椎全体を前に曲げる動きです。どちらの意味で使われているかは、実際にどういう使われ方をしているか文脈から意味を判断しましょう。

5:体幹の屈曲は、体幹を前に曲げる動きを表します。

6:膝の屈曲は下腿を膝につけていく、すなわち膝を曲げる動きのことです。

7:股関節の屈曲は大腿が股関節に近づいていく、すなわち大腿を前に持ち上げるような動きのことです。

8:背屈とはどんな動き?

足関節の屈曲には 「背屈」という特別な名前がつけられています。足関節の背屈は足を下腿前面に近づけるような動きです。

9:側屈とはどんな動き?

「側屈」は頭部、頚部、体幹を横方向へ曲げる際に使われる関節の動きの用語です。

関節の伸展とはどんな動き?

関節の角度が広がる動き…曲げた状態からまっすぐにする動きを「伸展」と呼びます。それは関節を構成する2つの骨のなす角度がより大きくなる動きのことです。

まっすぐにすることのできる関節はどの関節も伸展することができます。肘や膝をまっすぐにすることは、肘や膝を伸展させると表現します。また、伸展は近接する骨同士の角度を広げることともいえます。

屈曲した関節を解剖的肢位に戻すことも伸展です。一般的に伸展は後方への動きです。例えば腕全体を後ろに動かすことは肩関節の伸展になります。以下に伸展の使用例をあげますので参考にしてください。

関節の伸展

関節の伸展の使用例

1:肘関節の伸展は肘を伸ばすような動きのことです。

2:肩関節の伸展は上腕を後ろに動かす時のことです。

3:手指および手関節の伸展はそれぞれ、手指を背側へ動かし、手を前腕後面へ近づけるような動きです。

4:頭部や頚部の伸展は、頭部や頸部の後方への動きを表します。

5:体幹の伸展は直立姿勢から体幹を後方に動かす動きや先方へ曲げた姿勢(屈曲姿勢)から脊柱を戻す動きです。

6:股関節の伸展は大腿を後方へ動かす動きを表しています。7:膝関節の伸展は曲げた(屈曲した)膝をまっすぐにする動きです。

8:底屈とはどんな動き?

足関節の伸展は特に「底屈」と呼ばれます。足関節の底屈は足を下方に曲げて下腿後面に近づけるような動きです。

伸展の過伸展とは何?

マッサージの世界では一般的な可動範囲(可動域)を超えて関節が伸展することを「過伸展」と呼びます。

回旋: 内旋と外旋はどんな動き?

軸を中心に関節が回るような動きのことを回旋と呼びます。肩関節や股関節においては、内側に回る動きを「内旋」、外側に回る動きを「外旋」と呼びます。

関節の回旋の内旋と外旋



体幹においては単純に右または左に回る動きをそれぞれ右回旋、左回旋と呼びます。
以下に回旋の使用例をあげましたので、参考にしてください。

関節の回旋の使用例

1:頭部の回旋(頚部の回旋が含まれることもあります)は頭部が左右に回る動きのことです。

2:肩関節の回旋は上腕の回旋とも呼ばれ、内旋 または外旋することができます。

3:股関節の回旋は大腿の回旋とも呼ばれ、内旋または外旋することができます。体幹の回旋は体幹が右または左に回る動きのことです。

4:体幹の回旋は体幹が右または左に回る動きのことです。

5:回外と回内はどんな動き?

前腕の回旋には特別な名前がつけられています。「回外」は前腕や手が外側に回る動きのことで、一般的には手の平が正面を向く動きです。

「回内」は前腕や手が内側に回る動きのことで、一般的には手の平が後ろに向く動き です。また、肘関節を90度に屈曲した状態だと、前腕の回外では手の平が上を向き、回内では手のひらが下を向きます。 

関節の外転(がいてん)はどんな動き?

体幹の中心から外側方面に遠ざかる動きを「外転」といいます。詳しく説明すると、外転は肩関節で生じる上腕や前腕が外に離れる動き、あるいは大腿や下腿が体の内側から離れる動きです。

関節の外転

外転では上腕や下腿は正中線から離れていきます。手指では中心となる第3指(中指)から指が左右に離れていく動き、足趾では第2趾からが左右に離れていく動きも外転といいます。簡単にいえば指を開く動きが外転です。

撓屈とはどんな動き?

ここで中手指節関節と手関節については「撓屈」という用語もしばしば 用いられます。撓屈は手指や手が前腕の外側(すなわち撓骨側)に向かう動きです。

尺屈と撓屈

関節の外転の動きの例

以下に外転の使用例をあげます。参考にしてください。

1:肩関節の外転では上腕(あるいは上肢)が正中線(身体の中心を縦に走る線)から離れる方向に動きます。

2:股関節の外転では大腿あるいは下肢が正中線から離れる方向に動きます。

内転(ないてん)はどんな動き?

体幹の中心に向かって近づく動きを「内転」といいます。詳しく説明すると、内転は外転の動きの反対の動きで、肩関節、股関節、そして手指や 足趾で生じます。

関節の内転

肩関節および股関節の内転では、上肢および大腿が正中線へ向かって近づくように動きます。手指では第3指(中指)へ他の指が近づく動き、足趾では第2趾へ他の趾が近づく動きも内転です。言い換えれば、指を閉じる動きが内転です。

尺屈とはどんな動き?

さらに、中手指関節と手関節では「尺骨」という用語もしばしば 用いられます。尺骨は手指や手が前腕の内側(すなわち尺骨側)に向かう動きです。

尺屈と撓屈

内転の動きの例

以下に内転の使用例を紹介します。参考にしてください。

1:肩関節の内転は上腕が正中線に近づく動きです。この場合、前腕が体幹の前方、または後方にまで達することがあります。

2:股関節の内転は大腿が正中線に近づく動きです。この場合、大腿が他方の大腿の前方、または後方にまで達することがあります。

分回し運動はどんな動き?

分回し運動は腕をぐるぐると振り回す動きで、屈曲、伸展、外転、内転の4つの動きが総合的に組み合わさった運動のことをいいます。

その動きで生じることで、遠位の部位が円を描くように動きます。分回し運動は4つの動きで全てが生じる関節のみで可能です。

分回し運動

分回し運動の使用例

1:肩関節の分回しは、肩関節の屈曲、伸展、外転、内転の複合的な動きによって生じます。

2:股関節の 分回しは股関節の屈曲、伸展、外転、内転の複合的な動きによって生じます。

3:中手指節関節の分回しの時は、この関節の屈曲、伸展、外転(撓屈)、内転(尺骨)の複合的な動きによって生じます。

4: 頭頚部(頭部と頚部を同時に示す用語)や体幹の分回しに関しては議論の余地があります。なぜなら、頭頚部や体幹の関節では内転や外転ができないため、分回しの定義に当てはまらないからです。
しかし、これらの関節では側屈することはできます。屈曲、伸展、左右の側屈の複合的な動きによって、分回しに近い動きをすることができると考えられます。

水平屈曲・水平内転はどんな動き?

水平屈曲は水平伸展の反対の動きで、上腕は水平面に沿って身体の後方から前方へ向かって動きます。

水平屈曲・水平内転

水平伸展・水平外転はどんな動き?

水平 進展は肩関節で生じる動きでこの時 上腕は水平面に沿って身体の前方から候補へ向かって動きます。

水平伸展・水平外転

関節の内反はどんな動き?

関節の内反は足底が内側を向くような足の動きのことです。

関節の内反と外反

関節の外反はどんな動き?

関節の外反は足底が外側を向くような足の動きのことです。

関節の挙上はどんな動き?

関節の挙上は肩甲骨や下顎骨の上方への動きのことです。

関節の下制はどんな動き?

下制は肩甲骨や下顎骨の下方への動きのことです。

肩甲骨の挙上と下制

関節の前方突出はどんな動き?

関節の前方突出は、肩甲骨や下顎骨の前方への動きのことです。

関節の後退はどんな動き?

関節の交代の動きは、肩甲骨や下顎骨の候補への動きのことです。

関節の前方突出と後退

関節の偏倚はどんな動き?

関節の偏倚(へんい)は下顎骨の左右の動きのことです。

関節の上方回旋はどんな動き?

関節の上方回旋は、肩甲骨が上角を中心に上外側へ回転する動きで、肩甲骨の下角が脊柱から離れます。

このとき、肩甲骨の上外側面にある関節窩(上腕骨頭の受け皿)は上を向きます。上方回旋は、関節を30度以上外転していく際に必要になります。

関節の下方回旋はどんな動き?

関節の下方回旋は肩甲骨が上角を中心に下内側へ回転する動きで、肩甲骨の下角が脊柱へ近づきます。このとき、肩甲骨の関節窩は下を向きます。

肩甲骨の上方回旋と下方回旋

骨盤の関節の動きは6種類

骨盤の関節の動きは 6種類あります。骨盤の安定性は前後左右の体幹の筋肉によって保たれてるため そのバランスが取れていないと直立していても骨盤が傾斜してしまいます。

それは骨盤のバランスが崩れている可能性があります。自分の現状の骨盤と照らし合わせ ながら見ていきましょう。

骨盤の前傾はどんな動き?

骨盤を前に傾ける…お尻を後ろに突き出すような動作で、骨盤が前に前傾します。

骨盤の後傾はどんな動き?

骨盤を後ろに傾ける…おへそを奥に引っ込めるような動作で、骨盤が後傾します。

骨盤の前傾と後傾

関節の左傾斜はどんな動き?

骨盤の左を下げる…右側の腹斜筋を縮めるような動作で、左の骨盤が下がります。 

関節の右傾斜はどんな動き?

骨盤の右を下げる…左側の腹斜筋を縮めるような動作で右の骨盤が下がります。

骨盤の左傾斜と右傾斜

骨盤の左回旋はどんな動き?

反時計回りにひねる…体幹を左にひねるような動作で右の骨盤が回るように前に出る。

骨盤の右回旋はどんな動き?

時計回りにひねる…体幹をミ後にひねるような動作で左の骨盤が回るように前へ出る。

骨盤の左回旋と右回旋

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お悩み解決しますイーバランス整体院
イーバランス整体院院長

『資格:整体師』
整体師歴26年
〈略歴〉
1998年3月 ナショナル整体学院卒業
1988年4月 天祖鍼灸整骨院勤務
2000年6月 オアシス整体院勤務
2010年1月 ラクシア整体院勤務
2013年6月 イーバランス整体院開院
現在に至る
志木駅東口イーバランス整体院は骨盤矯正や骨格矯正で腰痛や肩こりを改善します。特に産後の骨盤矯正は好評です。

『皆様の症状を親身に考え心を込めて整体や骨盤矯正を致します』お気軽にご相談下さい。

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