この前の筋肉系のブログは腓腹筋の解剖についてお話ししましたが、今回はその中のヒラメ筋の解剖について詳しく紹介していきます。
ヒラメ筋は第二の心臓ともいわれています。そして、ヒラメ筋は重要な足関節の底屈筋の一つです。
ヒラメ筋は腓腹筋と同様に、底屈の動きを及ぼすために重要であると考えられています。
ヒラメ筋の名前の由来
ヒラメ筋は、その形が魚のヒラメに似ていることから名付けられています。
【Soleus】
「solum」:ラテン語の「底」
下腿三頭筋:triceps surae:tricepsは「3つの頭」、surae は「下腿」を意味しています。
ヒラメ筋の位置
ヒラメ筋のほとんどは腓腹筋の深層に重なっており、後方浅部コンパートメントの中でも深層にあります。ヒラメ筋の遠位部分は腓腹筋よりも幅広く、表層に出ているため 触診 しやすくなっています。
ヒラメ筋の起始と停止
起始:脛骨近位端の後方(ヒラメ筋線)、腓骨頭、腓腓骨の筋位後面
停止:アキレス腱を経て踵骨隆起
ヒラメ筋はどんな作用の筋肉?
●足関節の底屈
ヒラメ筋は足関節の後方を通過し、その起始は踵骨上の停止より近位にあります。そのため、ヒラメ筋は踵骨を後方へ引くことで、足関節を底屈させます。
ヒラメ筋は第二の心臓
ふくらはぎは第二の心臓と良く聞きますが、もう少し詳しく解説するとその筋肉はヒラメ筋なのです。
ヒラメ筋は下肢後方から静脈血の還流を助けているので、「第二の心臓」という別名がつけられています。すなわち、ヒラメ筋の収縮によって下腿後方から心臓へ血液を押し戻します。
ヒラメ筋の役割の大きな特徴
ヒラメ筋は後方から足関節を安定させることで、腓腹筋の動きを助けています。ヒラメ筋と腓腹筋はアキレス腱という共通した停止腱を持つ一つの筋肉とも捉えられ、その場合は近位に3つの筋頭を持つ筋であることから、「下腿三頭筋」と呼ばれています。
ヒラメ筋は足関節の後方を通過してるだけで、その他の関節には関与していないため、膝関節やその他の関節の位置に影響を受けることなく底屈を行うことができます。
また、私たちが体重を足に乗せた時に、ヒラメ筋とその他の底屈群は、背屈筋群と一緒にバランスを取るようにして協調して働いています。
機能的解剖を紹介
「腓腹筋は速筋線維」であるとお話ししましたが、「ヒラメ筋は速筋線維よりも遅筋線維」を多く含んでいます。この特徴は 耐疲労性の姿勢筋としてのヒラメ筋の機能を示しています。
ヴィジュアル機能解剖学 南江堂
腓腹筋が重量を挙げ、短距離走、高跳びなどで爆発的な力を発揮する一方で、ヒラメ筋は立位、歩行、ジョギングなどの強度の低めの動作で使われます。
これら 2つの筋肉のどちらが活発であるかは、膝の状態によって異なります。膝が伸びようとしているか伸び切ってる場合(スクワット動作で下半身を上げる時や座っている状態から立ち上がろうとする時、もしくはジャンプ動作時)は、腓腹筋の方が活発です。一方で膝が屈曲している場合(力を抜いた歩行時や静止して立っている時)は、ヒラメ筋の方が活発です。
ヒラメ筋が硬いとどうなる?
膝関節の屈曲や伸展に関係なく足関節の背屈機能が低下します。
ヒラメ筋が弱いとどうなる?
足関節の底屈機能が低下することがあります。
ヒラメ筋のその他の詳細
ヒラメ筋の共働筋
足関節の底屈
・腓腹筋
・足底筋
・後脛骨筋
・長母趾屈筋
・長腓骨筋筋
・短腓骨筋
ヒラメ筋の拮抗筋
足関節の背屈
・前脛骨筋
・長趾伸筋
・長母趾伸筋
・第3腓骨筋
ヒラメ筋の神経支配
・神経:脛骨神経 S1-S2
ヒラメ筋の血管供給
・血管:腓骨動脈
ヒラメ筋の関連痛領域
・アキレス腱から踵の底側面にかけて
その他の検査対象筋
・足底方形筋