前回は「お酒の種類で太り方がちがう!内臓脂肪が増える4つの原因」を紹介しました。
今回は内臓脂肪型肥満は全身に慢性炎症を引き起こす理由を紹介します。以前紹介した「リンゴ型体型の肥満」の方は要注意ですので参考にして下さい。

内臓脂肪は活発に動く内分泌臓器
内臓脂肪は単なる太ってしまう物質の存在だけではなく、エネルギーの貯蔵庫としての役割をしています。
たくさん食べすぎればエネルギーを蓄積し、体内のエネルギーが足りなくなれば脂肪から取り出します。その他さまざまな物質を放出するのです。
内臓脂肪は負荷がかかると大型化する

内臓脂肪や皮下脂肪などの体脂肪は脂肪細胞から構築されています。皮下脂肪の脂肪細胞は小型のまま増えるのに対し、内臓脂肪は新しく増える脂肪細胞が皮下脂肪に比べて少ないことが研究で分かっています。
内臓脂肪の脂肪細胞に負荷がかかると大型化することになります。
大型の脂肪細胞は炎症物質を放出
大型化された脂肪細胞から多くの炎症物質が放出されます。一時的な炎症でおさまればいいのですが、人によっては炎症反応の弱い状態で長引いてしまう「慢性炎症」になってしまう人もいます。

分泌される炎症性物質(サイトカイン)は?
内臓脂肪が慢性炎症を引き起こす物質とはいったい何でしょう?
●TNF-α(腫瘍壊死因子α)
●IL-6(インターロイキン6)
●CRP(C反応性タンパク)
※肝臓で産生されるがIL-6で誘導される

内臓脂肪型肥満の人の血管は壊れやすい
内臓脂肪の脂肪細胞はどうして血管が壊れやすくなるのでしょうか?
血液中に炎症性物質(サイトカイン)が放出されると血管の壁に炎症を起こし、血管壁にプラークという盛り上がりができます。プラークが段々と大きくなるとそれを覆っている膜が薄くなってやぶれやすくなります。
その膜が破れると傷口を修復するために血液の塊である血栓ができ血管を詰まらせます。脳で詰まれば「脳梗塞」心臓で詰まれば「心筋梗塞」になります。

①悪玉炎症物質の影響によるもの
血管の内側の壁を傷つけ動脈硬化のリスクを高めます。
②インスリン抵抗性の悪化によるもの
内臓脂肪が増えるとインスリンの抵抗性の効果が悪くなります。それにより血糖値や中性脂肪、血圧が上昇します。
よって血管の壁に大きな負担がかかり壊れやすくなります。
③善玉アディポカインが減少してしまう
善玉アディポカイン(アディポネクチン)はホルモンの一種で血管を守る作用があります。
④高血圧・脂質異常症・糖尿病との関連
メタボリックシンドロームの多くは内臓脂肪型肥満が原因です。
メタボリックシンドロームは高血圧、高血糖、脂質異常になるリスクがあり、それらが重複すれば大きな病気のリスクも高めます。
感染症を重症化させるリスクも
2019年から存在する新型コロナウイルスは内臓脂肪型肥満の人に対して重症化させることが分かっています。
内臓脂肪型肥満の人はもともと慢性炎症を持っているため、炎症が急激に増えてしまい重症化につながるのです。
感染症の重症化を防ぐためにも内臓脂肪を増やさないように暴飲暴食をやめ適度な運動も心がけましょう。



