腰方形筋の「腰」は腰部を、「方形」はこの筋が四角い形状であることを示しています。この腰方形筋の様々な機能や役割ストレッチ方法やマッサージ、整体を紹介していきます。
腰方形筋の役割とは?
腰方形筋の片側のみの動きでは、第12肋骨を腸骨稜に向かって引き下げることで、腰部との側屈が起こります。
加えて骨盤の引き上げは、第12肋骨が固定された時に、腸骨が引き上げられることで起こります。
また両側の収縮時は、両側の第12肋骨が後方に引かれることで、腰部との伸展が起こります。
例えば、映画撮影技師がカメラを担いであるいは、台車上でカメラを動かして撮影をする必要がある場合、Steadicamと呼ばれる装置を使用して、キャリアの動きがカメラに伝わることを防止します。
走ったり伸ばしたりしながら眼と手を使う、すなわち足と脚を動かさずに、手を使った動作をするような複雑な運動をする時は、この装置と同様の調整が、我々の上半身と下半身の間にも必要です。
側屈という動きの他に、腰方形筋はこの調整を行います。このため馬の騎手、カヤック選手、ゴルファーなど、上半身と下半身の動きが別々になるスポーツや活動をしている人々に、腰方形筋の痛みや障害がよく見られます。
機能解剖
腰方形筋は脊柱の深層部にある多機能筋です。腸骨と腰椎の外側及び、第12肋骨を連結しています。
腰方形筋の筋繊維は肋骨と脊柱から後方の腸骨後部に向かって、下方外側にやや斜めに走行しています。この筋肉は脊柱起立筋群の深層で、大腰筋の後方に位置していて、腹壁後部の形成を助けています。
機能・作用的には下肢が固定されている場合、腰方形筋は骨盤に対して脊柱を安定させる機能があります。腰方形筋は立位姿勢を保持して、脊柱起立筋群と協調することで、わずかに側屈や伸展を生み出します。
我々が直立した時、腰方形筋は中殿筋とともに活動して、身体が下肢の上に位置するように作用します。歩行時には腰方形筋と中殿筋は、体重が一方の足からもう一方の足に移る際に、骨盤に安定を補助する作用があります。
これらの筋肉は、骨盤が外側にずれることを防ぎ、骨盤の動作をし、矢状面だけに維持ます。また、腰方形筋は荷重がもう一方の端に映る時に、胸骨を胸郭の方向に引き上げます。
この動きにより、足部を床に打つことなく、足を前方に振り上げることが可能となります。
腰方形筋には呼吸を助ける働きもあります。吸気運動時には、この筋肉が第12肋骨を下方にさげるため、胸郭を最大限に拡張することが可能となります。
腰方形筋の機能低下は、頻呼吸、中殿筋の弱化、脊柱起立筋群、腹筋、腰筋のような、姿勢筋の不均等によって生じることがあります。
腰方形筋の作用
両側の収縮時は腰部の伸展に作用します。片方のみの収縮時は、腰部の側屈と骨盤を引き上げる作用。
呼吸での役割は横隔膜が収縮する際に、同時にアイソメトリック収縮をして、第12肋骨を引き下げ、胸腔の拡張に作用しています。
・脊柱の(一側)側屈
・脊柱の(両側)伸展
・腰椎の固定
腰方形筋が硬くなる、弱くなると
腰方形筋が硬くなる(短縮):
腸骨稜を上方に引き上げることで、骨盤が前傾し腰椎の前弯が増大します。また腰部の反対側への側屈が制限されます。
腰方形筋が弱くなる(伸長):
腰方形筋の機能が低下してしまいます。
起始部と停止部
起始部:腸骨稜、腸骨靭帯、下部腰椎の横突起
停止部:第12肋骨と上部腰椎の横突起
腰方形筋の座ってのストレッチ方法
1・横座りで座りますでは体の横に置きましょう。
2・左手を上げ、右手で支えながら腰の横を伸ばすように、反対方向へと倒して行きます。そのままの姿勢でストレッチングされる感じを味わいながら待ち、元の姿勢に戻します。
3・次に右手で支えながら腰の横を伸ばすように反対方向へと倒し、体を少し後方にひねりながら伸ばします。そして元の姿勢に戻ります。
4・最後に右手で支えながら、腰の横を伸ばすように反対方向へと倒して、体を少し前方にひねりながら伸ばします。
腰方形筋のストレッチのポイントとは?
・腰の筋肉がほぐれます。
・腰の動きの改善腰痛予防に効果があります。
・腰が軽くなり動きが良くなります。
・体が硬くなっていると、思ったよりも体が動かないこともあります。ですから無理をせず回数を重ねいきましょう。徐々にコリもほぐれ体を動かす角度も深くなります。
腰方形筋のストレッチ(うつ伏せ・横向き)
A:患者さんに行う腰方形筋のストレッチ方法
・患者さんは腹臥位を取ります。
・施術者は患者さんの横、腰の位置に立ちます。
・手根を患者さんの体の反対側の、脊柱起立筋の束の少し外側で、腸骨と最終肋骨の間に置きます。
・マッサージベットの方向にしっかり押圧、手根圧迫をゆっくりと向こう側に滑らせます。
・施術者の手が患者さんの横腹を離れるまで、骨盤と最終肋骨の間にあるすべての筋肉を覆う圧迫、手根圧迫します。
触診方法を紹介
第12肋骨と胸骨との間にあります。傍脊柱群と腰膜の下に、拇指あるいは四指を入れて触診します。
腰方形筋は脊柱起立筋の深部にあり、腰部の厚い筋膜層と腱膜組織のため、マッサージしたり整体したりするための触診が非常に難しい筋肉です。
肢位A:患者さんに腹臥位となってもらいます
1・施術者は患者さんの横に立ち、脊柱の方を向きます。両手の指先で胸椎の棘突起を見つけます。
2・椎弓と脊柱起立筋群を横切り、指先を側方に動かします。
3・第12肋骨と腸骨の間の深部を触診し、斜めに走行する腰方形筋の筋繊維を探します。
4・適切な位置を確認するため、施術者は股関節を挙上してもらい、腰方形筋を認識しましょう。
肢位B:患者さんは側臥位で、患者さんの上腕は、前方または頭の上に位置してもらいます。
1・施術者は患者さんの横にい立ち、脊柱の方を向きます。指先または肘頭で、上にある股関節の腸骨稜を探します。
2・腸骨に向かって、上方の脊柱起立筋群に向かって横に、指または肘頭を動かします。
3・第12肋骨と腸骨の間の深部を触診し斜めに走行する腰方形筋の筋繊維を探します。
4・適切な位置を確認するため、施術者はゆっくりと患者さんの股関節を挙上します。
腰方形筋のほぐし方
腰方形筋は肘頭でのマッサージや整体、脊柱起立筋のすぐ外側の斜めからマッサージや整体をするのがいいでしょう。
四指または、拇指を使ってマッサージや整体は、外側からアプローチし深部に届くように、持続圧を使ってマッサージや整体がいいでしょう。
※腰方形筋のマッサージや整体で注意すべき点は、上向きのマッサージや手根圧迫では、最後の第12肋骨に過剰な圧力を加えてはいけません。
なぜならばこの肋骨は第12胸椎のみに結合しており、圧力で骨折することがあります。十分注意して行いましょう。
腰方形筋の筋膜リリース
・患者さんは腹臥位を取ります。
・施術者は患者さんの横、腰の位置に立ちます。
・患者さんの頭部に近い方の手を、椎骨外側の腰の周辺に平らに当て、指は仙骨の少し外側の腸骨稜の上に置きます。
・もう一方の手を、最初の手に(上または下から)交差させ、下から3~4本の肋骨を覆うよう、胸部領域に平らに起きます。
・浅筋膜に触診したと感じるまで、両手を筋肉組織に沈めます。
・十分な下向きの圧力で反対方向に両手で押圧し、浅筋膜を捕らえストレッチします。
・筋筋膜ないで明らかなリリースの手ごたえを感じるまで抑えます。
・両手を外側(施術者側)に手の幅分だけ移動させ、このプロセスを繰り返します 。
腰方形筋の指圧の圧迫方法①
・患者さんは腹臥位か側臥位を取ります
・施術者は患者さんの横、腰の位置に立ちます。
・患者さんの横の外側をつかみ、拇指または四指で脊柱起立筋束の下、腰方形筋を押圧、指圧します。
・筋肉をしっかりと押圧、指圧し、腸骨への付着部から最終肋骨への付着部までの範囲に、圧痛点(痛み)がないか指先で触診し、調べます。気になる箇所を抑えて筋膜リリースしましょう。
腰方形筋の指圧の圧迫方法②
・患者さんは伏臥位になってもらいます。
・施術者は患者さんの横、腰の位置に立ちます。
・肘頭を脊柱起立筋のすぐ外側に置きます。
・組織深く内側方向へ斜めにしっかりと押圧、指圧します。
・このプロセスを繰り返して、まず最終肋骨への筋肉付着部に向けて上向きに、次に腸骨への筋肉付着部に向けて下向きに押圧、指圧します。
共働筋
腰部の伸展:
腰部の脊柱起立筋
拮抗筋
関連痛領域
・臀部上かけて
・腰を領域
・足の背側を下へ
・腸骨稜をおおう領域
・鼠径部へ、場合によっては睾丸へ
その他の検査対象筋
・腸骨稜
・腰傍脊柱筋
・臀筋
・梨状筋及び、その他の深外側回旋筋
・腹直筋および錐体
神経支配
支配神経:
第12頚椎神経から第4腰神経の前枝
血管供給
血管供給:
肋下動脈、大動脈
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