膝の裏にある膝窩筋の位置や機能、起始部や停止部、神経支配や共働筋と拮抗筋などの膝窩筋の解剖を徹底解説します。
名前の由来
膝窩筋の「膝窩」は膝の裏側を表す用語で、この筋肉が膝窩にあることからこの名前がついています。
英語の書き方
「poplit」：ラテン語の「膝の後ろ」
膝窩筋の位置
膝窩筋は平坦な三角形をした筋肉で、膝関節の後面の深層部にあります。
起始部と停止部
起始部：大腿骨外側顆
停止部：脛骨内側後方の近位端
どんな作用の筋肉？
この膝窩筋は脛骨の内側を後方に引くことで、膝関節を内旋させます。また、この筋肉は膝関節の後方を通過し、停止が起始の遠位にあるため、膝関節の屈曲も起こします。
・膝関節の屈曲
・屈曲した膝関節の内旋
役割の大きな特徴
膝関節は膝まわりの屈筋の筋肉、ハムストリング（半腱様筋・半膜様）薄筋、縫工筋、腓腹筋などは全て二関節筋ですが、膝窩筋は一関節筋です。
膝の後方外側部の安定性を守るために不可欠です。また、後十字靭帯を補強する役割も持っていて脛骨に対して大腿骨が過度に後方へ移動しないようにします。
膝窩筋の機能的解剖
膝窩筋は、膝の後方を斜走している筋肉です。大腿骨外側顆と脛骨の後方を結び、膝に内旋の動きをもたらしています。足底が着地していない状態では、脛骨は大腿骨に対して内側方向に回旋し、足底が着地している状態では大腿骨は脛骨に対して外側方向に回旋し ます。
ヴィジュアル機能解剖学 南江堂
膝窩筋の主な機能はスクリューホーム・メカニズムによる膝窩筋の完全伸展を解除することです。この機能は大腿骨外側顆より大腿骨内側顆が大きいことによって起こり、脛骨の回旋による大腿脛骨関節のロックを伴います。膝窩筋が伸展する際、脛骨は大腿骨に対して最大限外側方向に回旋します。これが「ロックされた状態」です。
この動きを簡単に再現することができるのは、椅子に座って膝を完全伸展させるときです。膝を伸展させるときに足の方向を注意深く見ると、膝が完全な伸展位に近づくにつれて、足が少しずつ外側に回旋するのが見られます。これは脛骨が大腿骨に対して回旋するときに見られる動きです。
同じ動きを立位でロックされた状態（完全伸展）からアンロック（軽度屈曲）するときにも観察することができます。膝窩筋が膝関節の内旋と屈曲の運動を開始するとき、この微小な動きが膝をアンロックさせ、ハムストリングスにより引き続き膝の屈曲または回旋を行うことを可能にしています。
膝の過伸展は膝窩筋を損傷させ、膝の後方に痛みと腫脹、機能障害を引き起こす可能性もあります。 それは鵞足炎や膝窩筋炎が多いです。また、症状が進むと変形性膝関節症になり膝関節の不安定や膝関節の激しい炎症にもつながります。
膝窩筋が硬いとどうなる？
膝窩筋が硬いと下腿の外旋に制限が生じます。また、短縮した膝窩筋は膝の完全伸展も制限されてしまいます。膝窩筋は多くの膝の痛みに関係します。
変形性膝関節症の患者さんに多く診られるのが硬い膝窩筋によって半月板を上手に引っ張ることがうまく出来なくなります。それは変形性膝関節症の症状を悪化させる可能性があります。ランナー膝や腸脛靭帯炎にも膝窩筋は大きくかかわり、膝の外側の靭帯や組織も硬くしてしまう影響もあります。
膝窩筋が弱いとどうなる？
膝窩筋が弱くなると下腿の内旋機能が低下します。
膝窩筋のその他の詳細
膝窩筋の共働筋
膝窩筋の拮抗筋
膝関節の外旋
・大腿二頭筋
膝窩筋の神経支配
・神経：脛骨神経
膝窩筋の血管供給
・血管：膝窩動脈
膝窩筋の関連痛領域
・膝窩部の内側
膝窩筋のその他の検査対象筋
・腓腹筋
膝窩筋に関係する筋肉
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