足底筋は膝関節の後面を通過し、起始は停止よりも近くにあるため、下腿部後面を大腿部後面へ向かって引くことで、膝関節の屈曲を起こします。
また、足底筋は足関節の後面を通過して踵骨を後方へ引くことで、足関節の底屈を起こします。今回は足底筋の解剖についてさらに詳しく紹介していきます。
そして、人間の腱の中でも一番長いという特徴があります。
足底筋の名前の由来
「足底」とは 足裏の部分のことです。しかし名前の由来とは裏腹に、足底筋自体の筋腹は膝の裏(膝窩)にあります。
【Plantaris】
「planta」:ラテン語の「足の裏」
足底筋の位置は?
足底筋は膝関節の後面の表層にあります。この筋肉は太くて短い筋腹と後方浅部コンパートメントにある腹筋とヒラメ筋の間を通る長い停止腱を持っています。
足底筋の停止腱はその遠位部でアキレス腱の一部となります。この筋の筋腹は「膝窩筋」の浅層にあります。
足底筋の起始と停止は?
起始:大腿骨の外側上顆
停止:アキレス腱を経て踵骨の後内側
足底筋の役割の大きな特徴
他の筋肉ではあまり見かけませんが、足底筋の形状はは人によって異なります。人によっては足底筋が二重になっている人もいるくらい形状が違う場合があります。
その足底筋の停止腱は他の筋肉が損傷を受けた場合、その組織の代用のために外科的に移植されることもあります。それは人間の進化の中で脚の動きや機能にとってさほど必要なくなり退化していった筋肉といえるかもしれません。
また、腕の筋肉の長掌筋は退化し、約15%の人が存在していないそうです。同様に他の筋肉の損傷の移植手術に使用される筋肉の一つです。
足底筋の作用を紹介
・足関節の底屈
・膝関節の屈曲
足底筋の機能的解剖
足底筋は下腿三頭筋のうち最小で最も深層にある筋肉です。下腿三頭筋は脹脛の3つの筋肉であり、それらが収束してアキレス腱(踵骨腱とも呼ばれる)となり、踵骨後面に停止しています。
ヴィジュアル機能解剖学 南江堂
下腿三頭筋には腓腹筋とヒラメ筋が含まれます。足底筋は「小さな筋腹」と「長い腱」が特徴であるため、しばしば前腕にみられる長掌筋と比較されます。腓腹筋の直接的な共働筋でありますが、大きな筋肉に見られるような力には欠けています。その小さな筋腹は腓腹筋内側頭にとても近く、区別することができないこともよくあります。
足底筋の長い腱は下腿表面の深層にあり、腓腹筋とヒラメ筋の間に位置します。足底筋の機能はあまり解明されていませんが、歩行時やランニングの足関節と膝関節の屈曲に足底筋が機能しているということです。
足底筋が硬いとどうなる?
膝後面の表層に痛みと張りを感じることがあります。
足底筋が弱いとどうなる?
足底筋の機能は非常に限定されているため特に問題は起こらないとされています。
足底筋のその他の詳細
足底筋の詳細を更に紹介します。
足底筋の共働筋
膝関節の屈曲
・半膜様筋
・半腱様筋
・大腿二頭筋
・腓腹筋
・膝窩筋
・薄筋
・縫工筋
足関節の屈曲
・腓腹筋
・ヒラメ筋
・後脛骨筋
・長母趾屈筋
・長趾屈筋
・長腓骨筋
・短腓骨筋
足底筋の拮抗筋
足関節の伸展
・前脛骨筋
・長趾伸筋
・長母趾伸筋
・第3腓骨筋
足底筋の神経支配
・神経:脛骨神経 S1-S2
足底筋の血管供給
・血管:膝窩動