尺側手根伸筋は強力な手首の伸筋であるだけではなく、尺側手根屈筋とともに手首を内転(尺屈)させる筋肉でもあります。前腕の伸筋群の中では痛みも出やすく悩んでいる方も多いです。
今回はその尺側手根伸筋を鍛える筋トレ、ストレッチや痛みをとるマッサージ方法、ほぐし方を紹介します。
尺側手根伸筋の筋トレやストレッチ
尺側手根伸筋の鍛え方やストレッチをご紹介する前に、この尺側側手根伸筋がどこから始まりどこに停止しているかや、どのような機能や動きをしている筋肉か知っておく必要があるでしょう。
その上で筋トレやストレッチをした方がより効率的で効果があらわれやすくなると思います。
尺側手根伸筋を鍛えるための筋トレ方法として、前腕を回内させた状態、すなわち、手のひらを下に向けた状態でテーブルの端に置きます。
手にバーベルやダンベルを握って手首をテーブルの端から出し、負荷抵抗に対して手首を最大の可動域で伸展、屈曲させると、尺側手根伸筋を鍛える筋トレになります。
▶短橈側手根伸筋と長橈側手根伸筋と同じトレーニング方法ですので、下記からご参照ください。
尺側手根伸筋の機能的解剖、どんな役割?
尺側手根伸筋は前腕にある伸筋群で最も内側に位置しています。これは外側における短橈側手根伸筋に相当する筋肉です。 強力な手関節伸筋であり、尺屈(内転)の作用や役割をになっています。
尺側手根伸筋は薪割りをしたり、ハンマーを使ったりするときに、尺側手根伸筋と共同して、尺屈の動きをさせます。 また、フリスビーをバックで投げれ時や、ボールを投げたり、野球のバットを振ったり、ゴルフをする時も、尺側手根伸筋と尺側手根屈筋の強力な機能連携による尺屈が要求されています。
前腕(前腕伸筋群)の筋トレ方法『2選』
●前腕の伸筋群を鍛えるダンベルリバースリストカール方法を紹介します。
▶長橈側手根伸筋を鍛える筋トレ方法と同じですのでこちらをご参照ください。
前腕(前腕伸筋群)のストレッチ『15選』
・前腕の伸筋群をストレッチさせる方法は、肘関節を伸展させて手関節を屈曲させます。ここでは、いくつかの前腕伸筋群をストレッチさせる方法を紹介していきます。
前腕を(前腕伸筋群)のストレッチ
・前腕伸筋群は、前腕の外側手の(甲側)にある上腕を伸展させるための筋肉群のことです。主に手首をそ反らしたり、曲げた指を伸ばす働きがあります。
前腕屈筋群と同様に、肘から手首までまたぐ多関節構造の筋肉と、一つの関節のみをまたぐ単関節構造の筋肉があり、伸ばし方も多様となります。
前腕伸筋群ストレッチのメリットとは?
主に手首や指を伸ばす働きを行う前腕伸筋群…それは手首や手先を使うパソコン作業なので酷使されている部位であります。
今となってはパソコン作業、スマホの検索やSNSで、日々酷使されている前腕伸筋群は地味にストレスになり、肩こりにもつながっいてます。
ストレッチでよくほぐして、コンディションを良くしておけば、デスクワークでの仕事効率も上がるはずです。
名前の由来
尺側手根伸筋の『尺』はこの筋肉が前腕の尺側を走行してることを意味しています。
また、『手根』は手首を示し、『伸』はこの筋肉の機能が伸展させる機能、役割があることを示しています。
位置と起始部と停止部は?
位置はどこ?
尺側手根伸筋は前腕の表層にあります。
起始部
共通の伸筋腱と尺骨後面の上腕骨外側上顆
停止部
第5中手骨底の背側
尺側手根伸筋の大きな特徴
短橈側手根伸筋と同じですのでご参照ください。
尺側手根伸筋の作用
尺側手根伸筋は手首の後面を通過しているため、手背が前腕の後面に向けて引っ張られることにより、手関節が伸展します。
また、この筋肉は手背の尺側を通過している為、第5中手骨を前腕の尺側へ引っ張って、手関節を尺屈させます(内転といいます)
●手関節の伸展
・手関節の尺屈(手関節の内転)
・わずかな肘関節の伸展
触診方法とマッサージやほぐし方
長橈側手根伸筋と同様で、手首の前面や外側で第2,3の中手骨のライン上で触診することができます。
また、手関節伸筋を一つの筋肉の束として考えて触診することは簡単です。上腕骨外側上顆から前腕にかけて触診すると、前腕後面の近位に筋肉の組織を感じるでしょう。
尺側手根伸筋のマッサージ方法としては起始腱を強擦することがこの筋肉を緩めるために有効的なマッサージ方法です。また、筋腹に対しては軽擦法、四指揉捏法、強擦方が効果的です。
今回は下記のような短橈側手根伸筋の触診方法とマッサージやほぐし方を解説していきます。
触診方法
前腕にある尺側手根伸筋の伸筋群は、手首を過伸展させて触診します。筋肉の束の構造は羽状で、筋線維の走行は筋肉に対して平行です。今回は下記のような触診方法を紹介していきます。
肢位:患者さんは仰臥位に寝てもらいます。患者さんの前腕は中間位(親指が上になる)になってもらいます。
1:他動的に肘を曲げて撓屈(前腕を外転)させて組織を弛ませます。
2:施術者は患者さんの横、腰の位置に座ります。
3:肘頭突起を拇指で確認し、遠位の尺骨外側縁に沿っていきます。
4:拇指を前方内側ににずらすと尺側手根伸筋があります。
5:患者さんの肘関節伸展、手関節尺屈(手関節内転)に対して負荷をかけながら、適切な位置を確認します。
尺側手根伸筋のほぐし方
前腕伸筋群のほぐし方①
1:患者さんに背臥位をとってもらいます。前腕と手を回内し、わずかに曲げます。
2:施術者は患者さんの横、腰の位置に立ちます。(座っても可能です)
3:一方の手で患者さんの手を押さえ、腕と手首を固定します。
4:もう一方の手の拇指を手首の上、尺骨頭(遠位端)の近くに当てます。
5:拇指を少し撓側に移動し、この動きを繰り返し、前回の動きと平行するラインに沿って、拇指を上腕骨(肘の方)まで滑らせます。
6:平行線に沿って、前腕伸筋(背面)を全て施術するまで同じプロセスを繰り返して前腕伸筋群をほぐします。
※長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋と同じです
前腕伸筋群のほぐし方②
1:患者さんには背臥位を取ってもらいます。
2:施術者は患者さんの横の腰の位置に立ちます。(座っても可能です)
3:指関節または手根を患者さんの手首の背側に当てます。
4:しっかりと前腕の伸筋群を押圧し、指関節または手根をゆっくりと前腕伸筋の筋肉に沿って、肘を超えて上腕骨まで滑らせます。
※長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋と同じです
尺側手根伸筋のその他の詳細
硬くなる、弱くなる症状
・硬くなると(短縮):手首の関節を完全に曲げることが困難になったり動きに制限が起こります。
・弱くなると(伸長):短橈側手根伸筋と長橈側手根伸筋、尺側側手根伸筋が弱くなると、手関節の完全に反らすことができなくなったり反らす動きに制限が起こります。また、手関節尺屈(内転ともいう)することが難しいでしょう。
共働筋
拮抗筋
関連痛領域
・手の尺側面
その他の検査対象筋
神経支配と血管供給
・支配神経
橈骨神経 C5~T1
・血管供給
後骨間動脈