今回は小円筋の解剖学を徹底解説します。その他、ストレッチや筋トレなども詳しく解説していきます。
小円筋の位置はどこ?
小円筋は、肩甲骨の外側縁(腋窩縁)に沿って位置しています。
小円筋の起始部・停止部
小円筋の起始部
肩甲骨外側縁の上三分の二
小円筋の停止部
棘下筋の停止部のすぐ下、上腕骨の大結節
小円筋のトリガーポイント
小円筋の停止腱は、大結節にある棘下筋の停止する腱の真下にあります。ここで回旋腱板(ローテーターカフ)を構築します。
小円筋もトリガーポイント、痛みやシビレの好発筋で様症状が現れます。
小円筋はどんな筋肉?
小円筋は大円筋よりも小さく「丸み」を帯びているため、この名前がついていますが、もっとも丸いといっても筋肉全体が丸いわけではなく、形としては円柱状の形状です。
マッサージのための機能解剖学
小円筋は回旋腱板(ローテーターカフ)の一つで、その筋肉は回旋腱板の一部を形成し、肩関節の後方の安定性に大きく関わっています。
小円筋の作用や役割
小円筋は回旋腱板(ローテーターカフ)を構築する、四つの筋肉のうちの一つです。小円筋、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋は皆で協力し、上腕骨の上腕骨頭を関節窩に固定する役割があります。
ヴィジュアル機能解剖学 南江堂
それぞれの筋肉には、腕の動作中での異なる肢位で、上腕骨頭を操作する役割があります。特に、小円筋は棘下筋と協力し、上腕骨と関節窩の後面に密着させ、肩甲骨の動きとの挟み込みを予防しています。
小円筋は大円筋、広背筋、大胸筋(胸助部)と共に、挙上している手を下ろすのを補助します。この機能は引く、投げる、頭上で打つなどの複雑な動作に対する適切な動作に貢献しています。
小円筋はワインドアップや頭上の動作の前負荷局面における、肩関節の外転を棘下筋との相互作用で行うとともに、同様の活動におけるフォロースルー局面では、遠心的に上肢の減速を行います。
小円筋は棘下筋と同様に大結節を引っ張ります。この筋肉は肩関節の後ろ方向を通過し、起始部が停止部よりも内側にあります。ですので大結節を後方に引っ張り、肩関節が外旋します。
また、外側縁が上腕の後方に位置しているため、肩関節を伸展させます。
小円筋のストレッチ方法
肩の深層部後面のストレッチ方法
腕を内側に捻る動きで肩の外旋筋群(小円筋肩甲下筋棘上筋)を伸ばします。
腕の付け根から内側へひねる動きで、腕を付け根から外側へひねる動きのある肩関節外旋筋群をストレッチします。
肩の外旋筋群は投球動作への作用、機能が高い筋肉の代表です。
小円筋のストレッチは肩関節の屈曲、内旋、外転させてストレッチが基本。肩甲骨外側についている筋肉の棘上筋、棘下筋と同じです。
①肩甲骨の甲賀を腰に当ててヒジを持ちます
片腕の手首を折り曲げて、手の甲がを腰に当てもう片方の手で肘をつかみます。
②ヒジを後方に引いて肩を内側へひねります
つかんだヒジを後方に引いて、胸を付け根から内側へひねります。「伸ばす側の肩を脱力する」ことが大切ですので、意識して小円筋をストレッチしていきましょう。
バリエーションとしては、テーブルや台に片腕の手の甲を乗せてひねります。
片腕の肘を90°に曲げてテーブルに載せます。そこからテーブルに体重をかけて、肘を付け根から内側にひねっていきます。
上腕部を回転軸にして肩をひねると、更に小円筋、棘上筋棘下筋がストレッチできるでしょう。
小円筋(棘上筋、棘下筋)を鍛える筋トレ
肩関節の深層部(後面)の筋肉トレーニング・強化方法は、腕を外側へひねる動きに働く筋肉群を鍛えます。腕を付け根から外側へひねる肩関節外旋の動きに負荷をかけて、肩関節の深層部の後面にある筋肉群を鍛えます。
ダンベルを下ろしていく局面において、肩の外旋筋群がダンベルの重さを支えながら鍛えていきましょう。
①肩肘をテーブルに乗せます
片手にダンベル(水を入れたペットボトルでも可能)を持ち肘を90°に曲げてテーブルや台に乗せます。肘は両肩のラインと同じ高さで、ヒジ先がテーブル上から出る位置に置きます。
②肩を外側に入れてダンベルを持ち上げます
肘を曲げたまま腕を付け根から外側へひねり、前腕部が垂直になるまでダンベルを持ち上げます。
③肩を内側へひねって頑張りを降ろします
ヒジを90°に曲げたまま、腕を付け根から内側へひねり、ゆっくりダンベルを下ろしていきます。
④小円筋をさらに強化
テーブルや台にかたうでの手の甲を乗せてひねると、さらに小円筋の筋トレになります。
肩腕の肘を90度に曲げてテーブルに乗せます。そこからテーブルに体重をかけて腕を付け根から内側にひねっていきます。上腕部を回転軸にし、肩をひねります。
小円筋の触診方法
肩甲骨の外側縁の上、三分の一から上腕骨の大結節まで、斜め上に向かって触診します。筋肉束の構造は収束状で、筋肉繊維の走行は斜めに走行しています。
肢位:患者さんは背臥位で、患者さんの腕はベットの下へ降ろしてもらいます。
1・施術者は拇指で肩甲骨の外側縁を触診します
2・拇指を内側上方の小円筋上に置きます
3・肩甲骨の棘下窩にある小さく丸みのある筋腹を確認します
4・そこから上方外側へ、上腕骨頭から大結節へと小円筋腱をたどっていきます
5・患者さんの肩関節外旋に対して負荷をかけながら、適切な位置を確認します
小円筋のマッサージやほぐし方
ストリッピング
1・患者さんは腹臥位を取ります。施設者は患者さんの治療する側に、患者さんの肩の方を向いて立ちます。
2・拇指を使って肩甲骨の内側縁の中央あたり、大円筋と棘下筋の間の筋肉を探します。 図4-50
3・重ねた拇指で深く押圧しながら筋肉に沿って、上腕骨外側の付着部まで滑らせます。
小円筋のその他の詳細
小円筋の共働筋
肩関節の外旋:
・棘下筋
・三角筋後部
肩関節の伸展:
・三角筋後部
・広背筋
・大円筋
・大胸筋(屈曲からの伸展)
小円筋の拮抗筋
小円筋その他の検査対象筋
その他の回旋筋腱板(ローテーターカフ)
特に棘下筋、大円筋、三角筋中部
小円筋の関連する領域
上腕外側の上部
小円筋の神経支配
腋窩神経
小円筋の血管供給
肩甲回旋動脈
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