生まれ方は生き方です。苦しい出産を乗り越えた経験が、その後の自信につながります。
赤ちゃんが生まれる過程は、信じられないことばかりです。だから、考えすぎはダメです。自然の力を信じて、無事に出産をしましょう。
苦しかった出産ほど心に残り、いい思い出
誰も代わってあげられないられないのが出産です。その苦しい出産を乗り越えて生まれた時、赤ちゃんは大きな自信に満ちて「やったー」という気持ちです。
誕生の瞬間、死ぬような苦しみを乗り越えることに、私は大きな意味があると思います。将来人生の壁にぶつかった時、「自分はあんな苦しい出産を乗り越えたんだ。そんなことでくじけてどうする」という、絶対の自信を心の根底に持ってるからです。
こんな話を聞いたことがあります。子供の頃セミが孵化する時、もがき苦しむ様子を見てかわいそうにと手伝ったら蝉は途絶えてしまいます。何度も繰り返す様子を見かねて、お母さんが「生きるものには生まれる過程がある。その過程を通らなかったら生きていけません」と注意したそうです。生きとし生けるものには、生まれるプロセスがあるのですね。
一つとして同じ出産はありません
同じ夫婦から7人も8人も赤ちゃんが生まれても、出産の経験の仕方は全て違うのです。同じ親から生まれても、出産が同じでないのは「人間は、一つの所に止まっていないから」です。
出産にはその時の感情、精神状態がそのまま反映されます。ですから、お母さんの心に出産は左右されるのです。立ち会っている旦那さんも自然にお母さんの気持ちに寄り添ってください。
「助産所でお産すると、また次の赤ちゃんが欲しくなる」というのは、お産に徹底的に寄り添う姿勢が、お母さんの負担を和らげているからだと思います。
とはいえ、赤ちゃんを守るために、自然分娩が無理なケースもあります。もし、ベストなお産ができなくても、嘆くことはありません。人間には挽回する力があるからです。
一番大切なのは、親が出産のプロセスを納得することです。そして、「あなたが生まれた時はね…」と出産の経験の思い出を子供に真剣に伝えてあげることが大切です。
考え過ぎはだめ!自然の力を信じて
赤ちゃんが生まれた話は何十回、何百回聞いても不思議です。出産は、同じ赤ちゃんの生まれ方はひとつもありません。それは「同じ生き方が二つとない」というのと同じだと思います。
出産の主導権は誰が握っていると思いますか?産婦人科の先生でも、助産師さんでも、お母さんでもなく、赤ちゃんが握っているのです。人間の体には60兆の細胞があると言われています。そのうち140億が脳の細胞です。その140億の脳細胞を、一つも壊さないようにこの世に出ようと、どの赤ちゃんもみんな思っているのです。
ですから、赤ちゃんは絶対に自分が死ぬような生まれ方はしません。赤ちゃんに任せていたら大丈夫なんです。
お腹の赤ちゃんの肺の中は水でいっぱい
お母さんのお腹にいる頃、赤ちゃんの肺にある4500万の肺胞には、水が溜まっています。その水が十ヶ月の時には半分になり、産道の中でウンウンというたびに水が少なくなって、出産の瞬間には空っぽになるんです。
そして、空になった肺胞一杯に空気をためるために、「オギャー」と泣くのです。
赤ちゃんが産道を通る瞬間は?
産道を通り抜ける瞬間、赤ちゃんはもう一つ大きな仕事をします。それは自分の頭の形を骨盤に合わせることです。骨盤の入り口は横長で出口は縦長です。
そのため、頭が通り抜けられるように、赤ちゃんは自分で回旋して出てくるのです。赤ちゃんの頭の一番大きい所が、骨盤を通る時は頭の骨の継ぎ目を重ね合わせて小さくし、頭をグッと反らせます。その時、赤ちゃんは一瞬死んで、暗黒世界から光り輝くこの世に生まれてくるんだと、私はいつも感じるのです。
出産は人間の手の届くのではなく「神の領域」だと今でも思っています。「神の領域」のことを、人間があれこれ考えたり、心配したりしても始まりません。自然の力、赤ちゃんの力を信じることなんです。そして生まれてきた赤ちゃんにとって、最良の環境を整えてあげることが大切です。