出産にはちゃんとお父さんの出番があります。最初は恐る恐るですが、お父さんもそのうち本能で動き出すでしょう。
昔は家族が総出で自宅で出産しました
70年前の出産は家庭分娩が当たり前でした。父さんは自転車で産婆さんを呼びに行き、おじいさんは薪を割ってお湯沸かし、おばあさんは子供たちと一緒にお嫁さんを励まし続ける…という風景がありました。
赤ちゃんが生まれる過程を家族で協力して乗り越え、家族の絆ができたのです。 戦後、アメリカの影響で、出産の場所が家庭から施設に移り、今では出産の大半が病院で行われるようになりました。
そして、子供を一人か二人しか生まない世の中になり、その子の命を全うさせなければと、高度医療が受けられる総合病院での出産が増え、家族のきずながますます危うくなっています。
出産時はお父さんも一緒に出産を乗り越えましょう
その一方で、立ち会い分娩する病院も増えてきました。その傾向はいいことだと思うのですが、出産の場所にお父さんがいるだけの「スタイルとしての立会い分娩」ではなく、本当に夫婦で出産を乗り越えられる出産ができたら一番の理想だと思います。
出産時お父さんは仕事を休んでお産に立ち会って
産婦人科や助産所で出産したいと来てくれた妊婦さんに「旦那さんとは仲がいいですか?」「ご両親とはうまくいってますか?」ってよく先生たちが聞きます。
出産することを親に隠していたり、旦那さんの反対を押し切って出産しようと思っていたりすると、不思議と出産の進行が良くありません。あまりに極端な妊婦さんは断られる事もあるそうです。
私はかつて日本中の家庭でそうだったように、出産を家族で乗り越えて欲しいと思っています。出産を通じて家族のつながりが強くなったり、仲が悪くても出産をきっかけに絆を取り戻すきっかけにもなります。
最近は立ち会いの出産が増えていますが、昔の日本の男性は仕事優先で出産になかなか協力的になりませんでした。 親が死んだら、どんなに突然でも一週間会社も休むでしょう。
自分の子供が生まれる時も、陣痛がきてから出産まで、お父さんが会社に大きな顔をしてお休みできるよう、さらに社会の仕組みと会社の雰囲気を変えていかないとダメでしょうね。
そうでなければ、とてもじゃないけど虐待は減ることはありません…。
立ち合い分娩はお父さんも本能のままに
助産所の立会い分娩には、父さんの仕事がちゃんとあります。最初「俺は出産にかわるのはごめんだ」と言っていた消極的なお父さんも、いざその場になったらこまめに一生懸命働いてくれるでしょう。
汗を拭いたり、お茶を飲ませたり、マッサージしたり…助産師も何をしたらいいのかお願いしますが、みんな自然に体が動きます。
その様子は『本能』だということですね。生む苦労を知らなかったら、わが子と言っても種を仕込んだだけですから、父親の自覚なんて希薄なものになってしまうでしょう。
けれど、二人で苦労して生んだ子は、どうしたって可愛く思えます。無事赤ちゃんが生まれた時は、どのお父さんも自然に涙が出てくると思います。なかには号泣するお父さんもいるでしょう。