今回は肩甲骨と深く関わる大菱形筋と小菱形筋の作用、機能やストレッチと筋力トレーニング、触診の仕方、整体とマッサージなどを詳しく紹介していきます。
意味や英語の読み方
菱形筋はその名の通り、ひし形をしているため、この名前がつきました。
rhombos:ギリシャ語の「ひし形」、oid:ラテン語の「~のような」を意味します。
大菱形筋・小菱形筋の位置は?
大菱形筋と小菱形筋は、脊柱と肩甲骨の間にあり、起始が停止の上方になるため、筋肉の繊維は斜めに走っています。
菱形筋は僧帽筋より深層にあり、上背部の中間層の筋肉です。小菱形筋は大菱形筋よりも上方にあり、大菱形筋よりも小さい筋肉です。
大菱形筋は小菱形筋よりも下方にあり、小菱形筋よりはずいぶん大きな筋肉で支配しています。
作用や機能とは?
菱形筋は、大菱形筋と小菱形筋があり、上背部の痛みやコリ、姿勢の悪さの主な原因であります。
肩甲骨を回旋させて肩甲骨を下げて、肩甲骨を内側に引く作用があります。菱形筋は肩を前方に引っ張る胸筋の力により、常に緊張状態にあることを、肩こり背中のコリや痛み、首のコリで悩んでいる方は忘れないようにしましょう。
姿勢を正そうとして、腰を引き反り腰になって、胸を張り、肩を広げようと意識している方を多く見かけます。
この時には、腰の筋肉群やこの菱形筋が作用、機能します。
本来、自然体で正しい姿勢が一番いいのですが、あまりにも意識しすぎることにより、この菱形筋にストレスを与えてしまします。
疲労が溜まれば筋肉を休ませようとします。その時に、また猫背になれば、それはそれで菱形筋に負担がかかります。悪循環に陥ってしまいます。
骨盤を立てて、上半身を垂直に骨盤に乗せておくのが正しい姿勢で肩や背中、腰の筋肉に負担やストレスがかからない状態です。
姿勢の過剰な意識をしすぎない様にしましょう。
このため菱形筋の緊張は常に大胸筋の緊張と関連していて、胸の筋肉も観察し整体やマッサージをしなければいけない箇所と言えるでしょう。
また、大菱形筋・小菱形筋は僧帽筋、肩甲挙筋、前鋸筋と共に働き、荷重動作の時に肩甲骨を胸部に固定させます。
特に大菱形筋・小菱形筋と前鋸筋は両方とも肩甲骨内側縁に付着する部分を持ちますが、それらの筋肉繊維は反対方向に伸び、完全に拮抗する関係です。
これら二つの強力な筋肉が同時収縮することで、肩甲骨を胸郭に固定させる機能があります。菱形筋、肩甲挙筋、前鋸筋は関節窩を下方に回旋させ、肩甲上腕関節の可動域を増大させる作用、機能があります。
ボートを漕ぐような引く動作は、僧帽筋と菱形筋が同時に働き、肩甲骨を内転させた結果によるものです。
大菱形筋・小菱形筋の起始部は停止部よりも内側にあるため、肩甲骨内側には脊柱に向かって引っ張られ、肩甲骨が内転します。
そして、この大菱形筋と小菱形筋の起始部が停止部よりも高いため、内側縁が上方と内側へ引っ張られる結果、肩甲骨が下方回旋して関節窩が下方を向きます。
菱形筋は中央の部分、僧帽筋と共に未発達であることがとても多いです。これは肩の丸まった姿勢の原因となりますもし、小菱形筋、大菱形筋が強力な前鋸筋にのために、バランスを崩してしまうと、肩甲骨は外転し、下制した位置に保たれます。
それによって筋肉緊張が高まり、頸椎(首の骨)の関節の可動域が減少します。肩甲骨や肩甲帯に付着する筋肉の近似た筋力を保つことで、上肢の適切なアライメントや可動性を獲得する事ができることでしょう。
大きな特徴とは
菱形筋は肩関節が屈曲や外転する際に、肩甲骨が外転しないように固定します。この筋肉は肩甲骨の外転筋が収縮することで、この筋肉が伸長されます。
また、肩甲骨を脊柱に近づけて姿勢を良くしようと努力すれば、肩甲骨の内転と外転のバランスを取るために、大菱形筋・小菱形筋は、常にアイソメトリック、エキセントリックに収縮することを余儀なくされます。
このようにオーバーワークになったり、伸長されたりした大菱形筋・小菱形筋は時折、トリガーポイント…いわゆる痛みやコリに繋がることが多々あります。放置していれば肩の筋肉全体のコリや痛み、首の筋肉全体のコリや痛みまで広がり、慢性的な症状になりかねなません。
菱形筋の痛みやコリの原因は
・菱形筋の硬い、弱いによる機能低下
菱形筋が硬くなると(短縮):
肩甲骨が内転位になり、肩甲骨の外転や上方回旋が難しくなります。
菱形筋が弱いと(伸長):
肩甲骨を内転させるのが難しくなります。猫背姿勢になり、大菱形筋・小菱形筋にテンションがかかり、コリや痛みが出てきます。
触診方法を紹介
菱形筋の触診には菱形まず、頸部と背中が交わる場所で、棘突起が後方に最も突き出している第7頚椎を見つけます。
次に第七頸椎から5つ下方の第5胸椎棘突起まで触れば、大菱形筋・小菱形筋の起始の輪郭が分かるでしょう。
肩甲骨の内側縁を促進するためには、前腕を背中に回すようにすれば、肩甲骨の内側縁が浮き出てくるので、簡単に触診できます。
肢位:患者さんは背臥位になります。患者さんの腕は体側に置いてもらいます。
1・C7~T5の棘突起を確認します。
2・4本の指で肩甲骨内側縁を触診します。
3・筋腹から平で、筋肉繊維が下方に斜めに走行していることを確認します。
4・患者さんの肩甲骨内転と、挙上に対して負荷をかけながら、適切な位置を確認します。
菱形筋のほぐし方
脊柱と肩甲骨の間を軽擦や強擦することは、大菱形筋・小菱形筋の整体やマッサージとして良い方法です。
また、この筋肉の停止部の筋肉繊維を、肩甲骨内側縁に向かって圧迫しながら強擦することもできます。
これが代表的な整体やマッサージの方法ですが、ここでは下記のような、整体やマッサージの仕方をご紹介していきます。
A:ストリッピング整体
1・患者さんには腹臥位になってもらいます。施術者は患者さんの頭側に立ち、患者さんのの方を向いて立ちます。
2・サポートする四指、または拇指を第6頚椎の棘突起外側に置きます。
3・深く押圧し、四指または拇指を肩甲骨の内側縁に達するまでゆっくり喋らせます。
4・四指、または拇指を開始位置のすぐ下に置き、同じプロセスを繰り返します。
5・肩甲骨下角に達するまで、同じプロセスを繰り返しましょう。
B:圧迫ストレッチ整体①
1・患者さんには腹臥位を取ってもらいます。施術者は患者さんの頭側に、患者さんの肩の方を向いて立ちます。
2・四指を外側方向にきに、肩甲骨の内側縁に置きます。
3・もう一方の手で、患者さんの肩の肩関節を持ち上げて、四指や、拇指を肩甲骨の下に挿入します。
C:圧迫ストレッチ整体②
1・患者さんには座位になってもらいます。施術者はその横に座ります。
2・手を背中に平らに当てて、示指(人差し指)を肩甲骨の内側縁に合わせます。
3・もう一方の手で、患者さんの肩の前面を後方に押しながら肩甲骨を浮かせます。示指を肩甲骨の内側縁の下に押し込んで、ストレッチやマッサージ整体します。
菱形筋のストレッチ方法
A:肩甲骨上部の一番こりやすい、小菱形筋・大菱形筋…肩甲骨を動かしてストレッチすることで肩こりを解消しましょう。
このストレッチのポイントとしては、伸ばしたいところが引っ張られるように、背中を丸めるのがポイントです。膝は曲がっていても構いませんので、無理しないでストレッチしましょう。
1・左手で左足のかかとを内側から掴み方残った部分小菱形筋大菱形筋を引き伸ばすように膝を伸ばしていきます。
2・肩甲骨の中ほどの部分(肩甲骨間部)をストレッチングするには、背中を丸めるのを意識します。
3・気になる小菱形筋大菱形筋の凝っている場所のストレッチは、足を下にし、背中の中ほどの部分のストレッチングは、足を上げ膝を伸ばしていきます。
この時、足の高さや向きによって伸ばさずれる部分が変わります。自分の凝っている場所、痛くつらい場所、伸ばしたい場所を探して角度をつけていきましょう。
B:仕事中などでもできる小菱形筋・大菱形筋のストレッチ方法…腕の前方への動きを良くするストレッチです。
このストレッチのポイントとしては、肩甲骨を外側に引き出すことで、肩甲骨と背骨の間をストレッチングします。
腕を下げる位置を少し変えて行うと、異なる場所がストレッチングされます。ストレッチングしたい場所を探してください。
1・体を前方へ倒します前方に腕を下げ指を組んで手を裏返します。
2・肘を伸ばし、腕を床に向かって伸ばします。この姿勢で5から10秒ほど心地よく筋肉が伸ばされるのを待ちます。2~3回ほど同様に行ってください。
菱形筋を鍛える筋トレ方法
菱形筋は肩甲骨を脊柱の方に引っ張る役割があるので、大菱形筋小菱形筋を脊柱側に引っ張る負荷運動により、筋力トレーニング、筋力強化になります。
上記の様な菱形筋の筋トレ、筋肉強化はジムに行って行わなければなりません。今回はご家庭でもできる筋トレ、筋肉強化方法をご紹介します。
1・膝を立てて仰向けになり、肘を体の側面の床につけた状態からスタートします。
2・肘をグッと床につけるようにして、上体を起こして行きます。首は無理に曲げないように気をつけましょう。
3・最後に肩甲骨をグッと内側に引き寄せるようにすると、状態を高く上げることができます。ギリギリのところまであげたら、元の位置に戻りこれを繰り返します。
※20回×3セットを目安に
初心者は10回くらいでもいいでしょう
菱形筋の起始部と停止部は?
大菱形筋の起始部と停止部
起始:第1から第4胸椎の棘突起
停止:肩甲棘から肩甲骨の内側縁に沿って下角までの間
小菱形筋の起始部と停止部
起始:第6および第7頚椎の棘突起
停止:肩甲棘の起始部の内側縁
菱形筋のその他の詳細
関連痛領域
・肩甲骨の内側縁に沿って肩甲骨上角の上
その他の検査対象筋
共働筋
肩甲骨の内転:
・僧帽筋中部
肩甲骨の下方回旋:
・肩甲挙筋
・小胸筋
拮抗筋
肩甲骨の外転:
・前鋸筋
・小胸筋
肩甲骨の上方回旋:
・僧帽筋上部
・僧帽筋下部
・前鋸筋
支配神経
支配神経:肩甲背神経
血管供給
血管供給:頚横動脈
この肩甲骨の内側にある小菱形筋や大菱形筋の肩こりや痛みなどでお悩みの方はイーバランス整体院にお気軽にご相談ください。
▶背中の筋肉一覧はこちら
▶肩甲骨の筋肉一覧はこちら
▶肩の筋肉の一覧はこちら