今回は「頭板状筋」について説明していきます。頭板状筋の機能や作用(位置・起始部・停止部)
その他、頭板状筋の筋トレやストレッチ方法、触診方法やマッサージ、ほぐし方も解説していきます。
頭板状筋はどんな筋肉なのでしょう
頭板状筋と頚板状筋は頚部の回旋と頚部の伸展に関与し、しばしば頭痛を引き起こす筋肉です。

頭板状筋の名前の由来
板状筋の板状は、その部分を覆う「包帯」のような形状を表しています。加えて、頭部に付着するので、頭板状筋と呼ばれています。
頭板状筋の英語の書き方
『Splenius Capitis』・Splenius:ラテン語の「包帯」・Capitis:ラテン語の「頭部」を意味しています。
頭板状筋の位置と起始部・停止部は

位置:頭板状筋は頚部後方にある中間層の筋肉です
起始部:頭板状筋起始部は項靭帯、第7頚椎から第3胸椎の棘突起
停止部:頭板状筋の停止部は後頭骨、側頭骨の乳様突起
頭板状筋の作用は
・頭部と頚部の伸展(両側の活動)
・頭部と頚部の側屈(片側の活動)
・頭部と頚部の同側側への回旋(片側の活動)
頭板状筋の役割、機能の詳細

頭板状筋の機能、役割としては起始部が停止部よりも下方にあり、加えて多くの椎骨間や環椎後頭関節をまたぐので、両側のの収縮時は頭頚部の伸展が起こります。
また、片方のみの収縮時は、頭蓋の後外側にある乳様突起を下方に引くことで、頭部の側屈が起こります。
そして、起始部が停止部よりも後方にあるので、同様に乳様突起が後方に引かれると、頭部の同側への回旋が起こります。頭板状筋は僧帽筋の深層に存在し、項靭帯下位頚椎、上位胸椎の棘突起に広い付着部を持ちます。
頭板状筋は幅が狭く、 そして厚みを増すことにより、乳様突起と外側後頭骨に強力な付着部を形成しています。これは頚部前面にある胸鎖乳突筋との強力なパワーバランスを生み出しています。
外側では、これらの筋肉は逆V字型を形成し、そのバランスが取れている時は、頭部の前後位置は肩甲帯上で中心位をとっています。より深層の後頭下筋と比較すると、頭板状筋は大きく幅が広いため、より効果的な頚部の伸展、側屈、回旋の主動筋となります。
頭板状筋は頚板上筋の直接的な共同筋ですが、頚板状筋よりも前方の外側に付着しているため、側屈と回旋ではより有利に働いています。
頭板状筋の大きな特徴
頭板状筋は、フォワードヘッドの姿勢は頭板状筋と頚板状筋の緊張を高めます。
頭板状筋を伸ばすストレッチ方法

頭板状筋をストレッチする方法は、頭部と頸椎の最大屈曲によりストレッチされます。
首を左回旋、側屈、そして屈曲することにより、右側の頭板状筋がストレッチされます。右方向への同じ動きによって左側がストレッチされます。
■胸鎖乳突筋を伸ばすストレッチも一緒に行いましょう
胸鎖乳突筋のストレッチはこちら
頭板状筋の鍛え方、筋トレ方法

板状筋を鍛える筋トレ方法は、まず手を頭の後ろで組みます。次に、頭を前に倒した(頚椎の屈曲)状態から手が加えた力に逆らいながら、ゆっくりと首を最後まで伸展させます。
このエクササイズは、自分の手でおこなう以外にも、パートナーやタオルを使っても上手にできます。
頭板状筋の触診方法とは?

頭板状筋と頚板状筋は後頭部の中間層にあります。頭板状筋を触診するために、乳様突起のすぐ後下方を探ると、僧帽筋上部線維の外側で、肩甲挙筋の中央の表層でこの頭板状筋を触診することができます。
肢位:患者さんに仰向けになってもらいます。
1:患者さんの頭側に座り、両手の手掌を上に向けて患者さんの首の下に手を入れます。指先で上部胸椎と下部頚椎の棘突起を見つけます。
2:指先を椎弓に向けて、外側に動かします。
3:乳様突起に向かって同側の斜走する筋繊維を追います。
4:適切な位置を確認するため、患者さんが上部を見上げて頭部を回旋することに対して施術者は負荷を加えます。
頭板状筋のほぐし方、マッサージとは?

今回は次のような頭板状筋のほぐし方、マッサージを紹介します。後頭部の軽擦法や揉捏法によっても頭板状筋と頚板状筋を探り当てることができます。
乳頭突起の後面から後頭骨の外側に沿って強擦法でほぐしたり、マッサージを行うのが効果的な頭板状筋のほぐし方です。
頭板状筋のその他の詳細
短縮や伸長による機能低下は?
・短縮:片側の頭板状筋が収縮すると、短縮を起こした側への頭部が回旋した姿勢を示します。また、頸部の屈曲と反対側への側屈が制限されます。さらに、頭板状筋、頚板状筋が短縮した場合は、頭痛がよく起こります。
・伸長:頭板状筋の機能が低下します。
頭板状筋の共働筋
頚板状筋
後頭下筋
頭板状筋の拮抗筋
胸鎖乳突筋
斜角筋
頭板状筋の支配神経と血管供給
・神経:中位から下位にかけての頚神経後枝
・血管:後頭動脈
頭板状筋の関連痛領域
頭板状筋の関連痛領域は頭頂部に起こります。
頭板状筋のその他の検査対象筋
後頚部の全筋肉
肩甲挙筋
僧帽筋
胸鎖乳突筋