腕橈骨筋ってどんな筋肉?
屈曲するための筋肉としての腕橈骨筋は、前腕が回内と回外の中間位置(安静位)にある時に最も効果的に強く働き、前腕が回内や回外にあるときは、屈筋としてよりは回外筋や回内筋としてより機能します。
腕橈骨筋の停止は橈骨の遠位骨頭(橈骨茎状突起)にあるので、特に負担ののかかった状態では屈筋として強力ですが、回内筋や回外筋としての機能は前腕が中間にある場合に一番弱くなります。
腕橈骨筋の機能的解剖
橈側手根屈筋は浅層にある三つの手関節屈筋群では最も外側にあり、腕橈骨筋のすぐ内側に位置しています。この腕橈骨筋は手関節の二つの目的を果たしています。
ヴィジュアル機能解剖学 南江堂
一つ目は内側上顆に起始がある他の筋と共に、手関節の屈曲を行います。手の平で小さなトレーのような物を運ぶ際に、手掌が上を向いた「前腕回外位」とする時、この機能は特に強く働きます。回外位での力強い手関節屈曲は、ドアノブをひねる、雑巾を絞る、ボーリングやアンダーハンドでソフトボールの投球を行う際にも不可欠です。
橈側手根屈筋の二つ目の機能は、手関節の撓屈(外転)です。この動きには、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋と同様に、拇指の向きに関わるいくつかの筋肉も関与しています。シャベルですくったり、円盤投げの最終動作でも橈側手根屈筋は活動しています。
名前の由来
腕橈骨筋は上腕にあり、前腕の外側すなわち橈骨側を走行してるために、この名前がつきました。
位置と起始部と停止部は?
位置は?
腕橈骨筋は前腕外側の表層。
起始部
上腕骨の外側顆上稜。
停止部
橈骨茎状突起の基部。
作用の詳細
腕橈骨筋は肘を曲げる作用と、前腕を外側に向けたり、内側から中間に戻す作用があります。
腕橈骨筋の大きな特徴
腕橈骨筋は前腕を回内・回外させる機能があります。前腕が回内位の時腕橈骨筋は中間位にまで前腕を回外し、逆に、前腕が回外位のときは、中間位にまで前腕を回内することができます。なお、前腕中間位とは回内と回外の可動域の中間のことです。
マッサージのための機能解剖学
腕橈骨筋の触診方法
前腕を中間位から回外または回内し、肘と橈骨の間を触診します。筋肉の束の構造は平行状で、筋肉線維の走行は筋肉に対して平行です。
肢位:患者さんは仰臥位に寝てもらいます。患者さんの前腕は中間位とします。
1:他動的に肘を曲げ、腕橈骨筋の組織を弛ませます。
2:前腕内側部の遠位から外側上顆を触診します。
3:外側上顆のすぐ上にある筋腹をつかみ、起始部の橈骨茎状突起に向かって確認します。
4:患者さんの肘関節屈曲に対して負荷をかけながら、適切な位置を確認します。
マッサージやほぐし方
腕橈骨筋は前腕の外側表層にあるため、簡単に触診することができます。前腕の中間位で肘関節を90°屈曲に保ったまま、この筋肉をアイソメトリック収縮させると、前腕外側にこの筋肉の輪郭が現れます。
腕橈骨筋の筋腹は、前腕の外側の近位1/2にあり、停止部の腱は前腕の外側中央から橈骨茎状突起へ走行しています。揉捏法、軽擦法、強擦法が腕橈骨筋に対するふさわしいマッサージ方法、整体、ほぐし方です。今回は下記のようなストリッピング方法、ほぐし方を紹介します。
・腕橈骨筋のストリッピングと指圧方法
1:患者さんに背臥位になってもらいます。
2:施術者は患者さんの腰の横に立ち、患者さんの頭の方を向きます。
3:重ね合わせた拇指を使って橈骨の遠位端にある腕橈骨筋の停止部を探します。
4:しっかりと腕橈骨筋の組織を押圧し、拇指を腕橈骨筋に沿って、肘を超えて上腕骨の起始部まで求心方向に滑らせます。
腕橈骨筋の筋トレ方法
腕橈骨筋の筋トレ方法は前腕を安静位で固定したまま、カールを行うのが 最も効果的です。また、前腕の回内、回外運動をで抵抗下で可動域全体にわたって行うのもよい筋トレ方法です。
腕橈骨筋のストレッチ方法
・肩関節屈曲位と前腕を最大回内位、または、最大回外位で、肘関節を最大伸展することによってストレッチされます。野球肘、にテニス肘の予防になります。最近は長時間パソコンを使ったりスマホを使ってることが多いため、腕に疲労がたまりやすく張ってきてしまいます。手が巧妙な動きをするのは、この前腕部の 腕橈骨筋と複雑に重なり合ってるからです。
腕橈骨筋をストレッチする時には、ねじりを加えた姿勢の方が、ストレッチしやすくなります。ヒジを伸ばした時と、曲げた時では伸ばされる筋肉が少し違います。手に少しずつ重量をかけ、気持ちいいというところまで伸ばしていきましょう。
今回は下記のようなストレッチ方法を紹介していきます。
1:椅子に浅く座り、左手の手のひらを下に向けてお尻の横よりやや奥に置きます。指先が体の方向に向くように腕を小指側にひねります。そして、後ろに体重を傾けて、手に体重を少しかけ、伸ばします。
2:同様に肘を少し曲げて行うと違った筋肉もストレッチされます。
腕橈骨筋のその他の詳細
硬くなる、弱くなるでの症状
硬くなると(短縮)
肘関節が曲がったままの状態になってしまいます。
弱くなると(伸長)
肘関節を曲げるための動くが悪くなります。
共働筋
拮抗筋
関連痛領域
肘外側面
手背面
母指と示指の間
前腕外側面
その他の検査対象筋
神経支配と血管供給
・支配神経:橈骨神経 C5~T1
・血管:上腕動脈、橈骨動脈