炎症のために出現する化学物質が時には痛みの原因物質です。ごく少量だと痒みの原因にもなります。 ここではその原因を詳しく解説していきます。
発痛物質は刺激が炎症を起こすと細胞から出る化学物質
熱や外力など物理的なものと化学薬品など刺激物、細菌やウイルスなどの病原微生物などで人間にとって不都合な刺激が加わると、自分の体を守ろうと免疫防御システムが働きます。
これが「炎症」です。したがって炎症とは本来はきわめて有益なプロセスですが、これも度が過ぎると有害になり、治療が必要になってきます。刺激が加わって炎症を起こすと、いろいろな細胞から化学物質が出てきます。
これこそが発痛物質で、その中でもヒスタミンと、ブラジキニン、セロトニン、プロスタグランディンなどが有名です。これらの発痛物質がカギの役目をし、神経線維の末端センサーにあるカギ穴に入り、スイッチをオンにすると非常事態発生の情報が、神経線維である電線を伝わって、脊髄と脳へと送られるのです。
このような発痛物質ができるのを、押さえ込んでしまおうというものが、消炎鎮痛剤という痛み止めにほかなりません。
かゆみと痛みの関係性…かゆみのヒスタミンは百倍の量で痛みに変化します!
ヒスタミンといえば、抗ヒスタミン剤という言葉を聞いたことがあるはずです。これはあの猛烈にかゆいじんましんの治療薬として有名です。それなら、ヒスタミンとはかゆみの物質だとしても痛みの原因物質ではないのでは?と、思うかもしれません 。
よく、「痛しゆかし」とか、「痛くもかゆくもない」とか聞いた事はありますでしょうか?一体当然痛みと痒みはどういう関係にあるのでしょうか?実はヒスタミンの量によって、ヒスタミンが原因物質なったり、発痛物質になったりするのです。
ごく少量のヒスタミンの刺激では痒みを感じ、その100倍ほどの大量刺激で痛みを感じさせることになるのです。