今回は膝蓋大腿関節障害と膝関節内遊離体(膝関節ねずみ)の誘引・原因や症状・臨床所見や検査方法、診断方法や分類・治療方法を解説していきます。
膝蓋大腿関節障害って何でしょうか?
膝蓋骨大腿関節障害で多い症例は「膝蓋骨不安定症」で、その症状は若年層に多いです。その他の膝蓋大腿関節障害としては、「膝蓋骨軟骨化症」「滑膜ひだ障害(棚障害)」などがあります。
膝蓋大腿関節障害の誘因と原因は
膝蓋骨不安定症は膝蓋骨の関節面の適合性に問題があり、膝蓋骨の亜脱臼や脱臼を繰り返す症例です。
膝蓋大腿関節障害の原因としては、大腿骨と膝蓋骨の関節面の形状があっていないことの他に、膝蓋骨を固定する靭帯や関節包が緩んでいます。ランニングの着地が内側(内股)になっていることなどが考えられます。
膝蓋大腿関節障害の症状や臨床所見は
・膝の屈曲時に膝の前方に痛みがあり、脱臼、亜脱臼を繰り返します。
・脱臼への恐怖感、膝の違和感を訴えることが多いです。
膝蓋大腿関節障害の検査方法・診断方法・分類とは
・膝蓋大腿関節障害の診断方法は座位、仰臥位で自動的と他動的に膝蓋骨を動かし、膝蓋骨の不安定性やトラッキングを調べ、痛みを確認します。
・上前腸骨棘 (ASIA)と膝蓋骨の中心を結んだ線と、膝蓋骨から脛骨粗面(膝蓋骨の下にある骨の隆起)を結んだ線とが交わる角度をQ角(アングル)と言います。
Q角の平均は、男性は10度、女性は15度前後ですが、膝蓋骨不安定症の患者さんはQ角が広い場合が多いです。
膝関節のQ角とは?
Q角が大きくなるほど外方ベクトル(膝蓋骨を外側に引く力)も大きくなります。
「医師監修」膝蓋大腿関節障害の治療方法を解説
膝蓋大腿関節に負担のかかる動作や運動を避けます。サポーターを装着するのはどの他、大腿四頭筋強化訓練が有効です。
脱臼を繰り返すようであれば、骨切り術を行うこともあります。
膝関節内遊離体(膝関節ねずみ)の原因や症状・検査・診断・治療
何らかの原因で砕けた膝関節内の骨軟骨炎が関節面に引っかかり、膝関節の痛みを引き起こす疾患です。
膝蓋骨亜脱臼や変形性膝関節症が膝関節内遊離体(膝関節ネズミ)発生の原因となりやすいです。
膝関節内遊離体(膝関節ネズミ)の誘因・原因とは
・膝関節周りの遊離体が発症する原因は、骨軟骨骨折、離断性骨軟骨炎、変形性膝関節症、滑膜骨軟骨腫症などです。遊離体は膝関節内をネズミのように移動するので「関節ねずみ」と呼ばれています。
・骨軟骨骨折は膝関節内で発生する小さな骨折のことで、ほとんどが膝関節脱臼によって起こります。
・骨や軟骨の遊離体が膝関節に 嵌頓すると(ひっかかると)膝関節に痛みが生じます。
膝関節内遊離体(膝関節ネズミ)の検査方法・診断方法・分類
・問診、触診、X線検査で判断します。ただし、遊離体が軟骨片だけの場合は、X線画像だけでは判断がつきません。
膝関節内遊離体(膝関節ネズミ)の治療方法
遊離体を関節鏡で摘出する手術を行います。骨軟骨片が大きい場合は、膝関節を切開して摘出し固定します。
色素性絨毛結節性滑膜炎とは?
・関節、腱鞘、滑液包の滑膜が限局性(結節性)あるいはびまん性に異常増殖する原因不明の疾患です。
炎症か腫瘍かで議論がありますが、悪性腫瘍ではありません。発症箇所は膝関節が最も多いです。
・滑膜組織が異常増殖し、関節内に血液が溜まり関節血腫や疼痛が起こります。隣接する骨に浸透する傾向があり、骨破壊へと進行してしまうこともあります。
患部の組織にはヘモグロビン由来の色素ヘモジデリンが含まれているため、組織が血で染まってるように見えます。
・ 症状は関節の腫脹、関節の痛みや引っかかり感です。若年層で関節血腫を繰り返す場合は、色素性絨毛結節性滑膜炎を疑います。
・色素性絨毛結節性滑膜炎の検査方法はMRI検査、関節鏡検査で診断します。
・色素性絨毛結節性滑膜炎の治療方法は滑膜切除術などを行います。ただし、切除しても再発することがあります。
骨に浸潤し変形性膝関節症に進行した場合は、人工関節置換術が必要になります。