上後鋸筋の解剖(機能、作用、役割)位置と起始停止、触診方法やほぐし方

上後鋸筋は胸筋の協力筋であり、菱形筋の拮抗筋です。

胸部側面及び、腕の下側に小胸筋と同じパターンの痛みを起こすことがあり、これらの痛みは前鋸筋に沿って治療するのが最も容易です。

今回はその脇腹の筋肉、「上後鋸筋」の解剖学、機能と役割や位置、起始部と停止部、触診方法や痛みをとるマッサージ方法、ほぐし方も解説します。

上後鋸筋はどんな筋肉なのでしょう|その概要は

上後鋸筋はどんな筋肉

上後鋸筋は菱形筋僧帽筋の深層に位置しています。
C7(頚椎7番)からT3(胸椎3番)と胸郭後面の第2から第5肋骨を連結しています。

付着している肋骨を持ち上げて呼吸を補助します。上後鋸筋の筋肉繊維の下行角度によって、強制呼吸器運動時に上位肋骨の挙上が可能になります。

この筋肉の最も一般的なトリガーポイントに触れるには、患者さんの腕を上げる必要があります。

上後鋸筋はどんな筋肉2

上後鋸筋の名前の由来

上後鋸筋の「上」は下後鋸筋に対して、上方にあることを示し、「後」は前鋸筋に対して上後鋸筋が後方にあることを示しています。

また「鋸」はギザギザしたノコギリのような形状を表しています。

上後鋸筋の英語の書き方

『Serratus Posterior Superior』・serra:ラテン語の「鋸」・posterior:ラテン語の「後方」・superior:ラテン語の「上方」を意味しています。

上後鋸筋の位置と起始部と停止部

上後鋸筋の位置

上後鋸筋は上背部にあります。
また、僧帽筋上部線維と菱形筋の深層で脊柱起立筋の浅層にあります。

上後鋸筋の起始部

上後鋸筋は項靭帯の下部、頚椎第6第7と胸椎第1第2の棘突起に起始しています。

上後鋸筋の停止部

第2~第5肋骨の上縁(肋骨後面で肋骨角付近)

上後鋸筋の位置、起始部と停止部

上後鋸筋の作用、機能の詳細を紹介 

吸気を補助する際に、第2から第5肋骨を挙上して胸腔を拡張させます。
起始が肋骨にある停止よりも上方にあるので、上後鋸筋の収縮によって肋骨の挙上が起こります。

上後鋸筋の大きな特徴とは?

上後鋸筋の筋線維の方向は、菱形筋ととても似ています。

上後鋸筋の触診方法を解説 

◆上後鋸筋の触診はその筋肉自体とても薄く、偏平です。
ですので、菱形筋と区別するのは通常困難です。
第7頚椎~第3胸椎の棘突起を探し、何とか触診してみましょう。

上後鋸筋の触診方法

肢位:患者さんには腹臥位をとってもらいます。

1:患者さんの横に立ち、脊柱の方を向きます。
指先でC7からT3の棘突起を見つけます。

2:指先を側方及び、わずかに下方に肋骨に向かって動かします。

3:第2~第5肋骨の後面に沿って、下方に走行する上後鋸筋の筋線維を探します。

4:適切な位置を確認するため、患者さんには唇をつぼめて、強く息を吸い込んでもらいます。

上後鋸筋の整体、マッサージやほぐし方

前鋸筋の整体、マッサージやほぐし方

◆上後鋸筋のほぐし方・マッサージ

1:患者さんは腹臥位をとってもらい、治療する側の腕を外転、伸展させてより多くの筋肉が露出するように、肩甲骨の上角を下へ回旋させます。

施術者は患者さんの治療する側と反対側の頭側に立ちます。

2:四指または、重ねた拇指を第6頚椎の棘突起の隣に置きます。
深く押圧し、肩甲骨が許す限り、手を斜め下にすべらせます。

3:第7頚椎と第1、第2胸椎をで同じプロセスを繰り返します。

4:上後鋸筋の最も一般的なトリガーポイントは、肩甲骨を回旋させると露出される、肋骨近くに存在しています。
このトリガーポイントが存在する場合、圧迫して押さえてリリースします。

上後鋸筋のその他の詳細

上後鋸筋の短縮や伸長による機能低下は?

・短縮:呼気を十分に行うことが制限されます。

伸長:肋骨の挙上機能が低下します。

上後鋸筋の共働筋

横隔膜
外肋間筋

上後鋸筋の拮抗筋

内肋間筋
下後鋸筋
腹横筋

上後鋸筋の関連痛領域

・肩甲骨の上半分から胸郭全部にかけて、腕の後側と尺側側に沿って小指まで

上後鋸筋のその他の検査対象筋 

菱形筋
回旋筋腱板
大円筋
小円筋
三角筋後部および中部

上後鋸筋の神経支配と血管供給 

・支配神経:
肋間神経

・血管供給:
肋間動脈

イーバランス整体院院長

『資格:整体師』
整体師歴26年
〈略歴〉
1998年3月 ナショナル整体学院卒業
1988年4月 天祖鍼灸整骨院勤務
2000年6月 オアシス整体院勤務
2010年1月 ラクシア整体院勤務
2013年6月 イーバランス整体院開院
現在に至る
志木駅東口イーバランス整体院は骨盤矯正や骨格矯正で腰痛や肩こりを改善します。特に産後の骨盤矯正は好評です。

『皆様の症状を親身に考え心を込めて整体や骨盤矯正を致します』お気軽にご相談下さい。

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