今回は後頭部から背中に位置する「頭半棘筋・頚半棘筋・胸半棘筋」について説明していきます。
頭が前傾した場合頭を支えています。その結果これらの筋肉が酷使され、背中が丸まっている猫背の方は常に緊張状態にあるのが普通です。 頭痛の原因になる筋肉の代表でもあります。
名前の由来
半棘筋も横突棘筋のひとつです。半棘筋とは、この筋肉が頚椎と胸椎にしかないので、脊柱の半分ということを意味しています。
英語の書き方
『Semispinalis』・semi:ラテン語の「半分」・spinalis:ラテン語の「脊柱の」を意味しています。
頭半棘筋、頚半棘筋、胸半棘筋はどんな筋肉?
頭半棘筋、頚半棘筋、胸半棘筋は僧帽筋の深部で、また深層の安定筋である後頭下筋の表層に位置しています。
半棘筋は・頭半棘筋(後頭骨に付着)頚半棘筋(頚椎に付着)胸半棘筋(胸に付着)と、複数の部位に分かれています。これらの分節は4~6つの椎骨にわたり、下は棘突起から上は後頭骨まで付着しています。
半棘筋の垂直線維は頭部部と頚部の強力な伸筋の作用を持ちますが、回旋筋としてはとても弱い作用です。後頭下筋が頭部の位置を決める役割を持つ一方で、半棘筋は重力に対して頭部を直立に保持する姿勢筋の1つです。
ヴィジュアル機能解剖学 南江堂
この筋肉の拘縮や拮抗筋である屈筋との筋力のバランスは、関連する後頭神経を圧迫する可能性があり、後頭部に感じる頭痛を生み出してしまう筋肉でもあります。
位置と起始停止部は
位置はどこにあるの
頭半棘筋、頚半棘筋、胸半棘筋筋の位置は椎弓板のくぼみにあります。多裂筋のすぐ浅層にあります。
半棘筋は第4頚椎から第10胸椎の横突起から3~6つ上の椎骨の棘突起へと至ります。この筋肉は上記の3つに分けられます。
起始部
・頭半棘筋ー第4頚椎~第6胸椎の横突起
・頚半棘筋ー第1胸椎~第6胸椎の横突起
・胸半棘筋ー第6胸椎~第10胸椎の横突起
停止部
・頭半棘筋ー後頭骨
・頚半棘筋ー第2頚椎~第6頚椎の棘突起
・胸半棘筋ー第6頚椎~第6胸椎の棘突起
頭半棘筋、頚半棘筋、胸半棘筋の作用
・両側の収縮時は脊柱の伸展
・片側のみの収縮時は脊柱の反対側への回旋
作用や機能は?
頭半棘筋、頚半棘筋、胸半棘筋は起始部が停止よりも外側にあるので、棘突起を外側にに引くことで、脊柱の反対側への回旋が起こります。
この動きはもちろん片側のみの収縮時です。また、両方の収縮時は棘突起を下方に行くことで、脊柱の伸展が起こります。
大きな特徴を紹介
半棘筋は頚椎で最も発達しています。また、3つの横突棘筋の中でも、垂直方向に筋肉が走行しているので、脊柱の伸展には適していますが、脊柱への反対側の回旋にはあまり適していません。
頭半棘筋、頚半棘筋、胸半棘筋の触診方法
肢位:患者さんに仰向けになってもらいます。
1:患者さんの頭側に座り、両手の手掌を上に向けて患者さんの頭部の下に手を入れます。後頭隆起を指先で見つけます。
2:指先を後頭下部に向けて、下方および外側に動かします。
3:患者さんが浅層組織を緩ませるように顎を引いた時、椎弓の中にある垂直線維を尾側方向に沿って触診します。
4:適切な位置を確認するため、患者さんが上部を見上げる動作に対して施術者は負荷を加えます。
頭半棘筋、頚半棘筋、胸半棘筋のほぐし方
棘突起のすぐ外測に触れる椎弓板のくぼみを簡単に見つけることができます。
そこに強擦法や圧迫を行うのが効果的な頭半棘筋、頚半棘筋、胸半棘筋をほぐすマッサージです。
その他の詳細
硬くなる、弱くなるでの症状
・硬くなると(短縮):
横棘突筋の片側のみが短縮した場合は、脊柱が反対側へと回旋した姿勢を示します。また、両側が短縮した場合は、脊柱の屈曲が制限されます。
・弱くなると(伸長):
半棘筋の機能が低下します。
共働筋
・脊柱の反対側への回旋:外腹斜筋
拮抗筋
神経支配
脊柱神経後枝
血管供給
肋間動脈・後頭動脈
関連痛領域
・頭半棘筋及び頭最長筋:側頭部、特に側頭部の前部
・頚半棘筋:頭部後面(典型的な緊張性頭痛)
その他の検査対象筋
・頭頚部の筋肉全体(前面、側面、後面)
・肩甲挙筋