骨は生きた組織であり、身体における役目は日常生活で課せられる要求に応じて変化しています。例えば、骨は負荷に応じて陥没、稜、隆起など固有の骨ランドマークを発達させます。加わる力には重力による圧縮力や筋、腱による張力が含まれます。ほとんどの骨は他の骨と連結し、関節を形成しています。関節はその形状や構成によって可能性が変化する複雑な構造をしています。ある関節はまったく稼働しない、またはほとんど可動性がない一方で、ある関節の可能性は大きく、また多方向に動きます。今回はその骨の個数、機能や役割などについて紹介します。
人間の骨は全部でいくつ?
体を支えている人間の体にある骨は一体いくつあるのでしょうか?頭から足先まで全部で206個です。しかし骨の数は年齢によって異なります。理由は赤ちゃんから成長期の「頭蓋骨」や「骨盤」、「胸骨」はまだ完全に形成されておらず1つの骨が分離しているからです。
その分離している骨が成長して完全になるには、女性で15歳前後、男性で18歳前後といわれています。そして加齢とともに骨量は変わっていきます。
人間の赤ちゃんの骨の個数はいくつ?
人間の赤ちゃんの骨の数は約350個の骨が確認されているそうです。赤ちゃんの成長とともに、その分離している骨が結合し1つの骨になり個数が減るわけですね。
骨の5つの役割や機能を紹介
各々の骨には筋肉が付着し、関節を介して身体を動かします。それ以外に内臓を保護する役割や赤血球と白血球や血小板などの血液成分を製造しています。その他、カルシウムなどのミネラルを貯蔵する役割もあります。その4つの機能を詳しく解説します。
①骨は体を支える・臓器の保護
骨格系は身体全ての軟骨組織を支持し、多くの重要な臓器を保護する枠組みの役割をしています。例えば頚椎は頭蓋を支持し、胸郭は胸腔内の軟部組織を保護し、下肢の骨は立っている姿勢や歩いてる時にも体重を支えています。
多くの骨は保護機能を有していて、頭蓋骨は衝撃から脳を保護し、脊椎の椎骨は脊髄を保護しています。骨による保護機能は、心臓や肺を保護する胸郭の構造からも明らかであるのがわかるでしょう。
②骨は体を動かす機能
骨は動作を生み出す時に筋肉が収縮することにより、テコとしても機能しています。筋肉、 骨、そして 重力のような外力間の協調した相互作用により、座っている時や立ってる姿勢の時にその状態がの静止性が保たれます。動作の実施や調整の時にはより複雑な相互作用が必要となります。
③骨は血液の生産工場
ある種の骨は髄腔を持っていて、赤色髄を内包しています。赤色髄とは赤血球を生産する疎性結合組織です。この血球新生と呼ばれる血球の産生過程は、成人においては主に頭蓋、骨盤、肋骨、胸骨および大腿骨と上腕骨の末端で生じます。
幼児期には、長骨の骨幹内にも赤色髄が存在しています。成長に伴い、この赤色髄は主に脂肪組織である黄色髄へと入れ替わります。黄色髄は血球新生の予備として役割があり、血球の大量発生が必要な場合には赤色髄として再び入れ替わります。
- 赤血球…全身の臓器に酸素を運搬する
- 白血球…体内に侵入した病原体などから体を守る
- 血小板…傷ついた組織を修復して出血を止める
④骨はミネラルと脂質の貯蔵
骨の中に貯蔵されたミネラルは、骨を硬くする機能があります。カルシウムやリンのようなミネラルは、骨の抗原繊維に沿って沈着して結晶を形成することで、骨のセメントを形成しています。
そればかりでなく、これらのミネラルは身体で必要不可欠な化学反応を起こすために、骨から吸収される場合もあります。例えば、カルシウムはアルカリ基であることから 、血中の酸-塩基バランスを維持するための補助として用いられます。もし、血液が酸性に傾きすぎた場合、骨の中のカルシウムは血中のpHを安定させるために血中に放出されます。
さらにカルシウムは、神経衝撃の伝達、筋収縮の補助、血圧の安定、身体の損傷後の血液凝固の開始にも用いられます。カルシウム、リンなどの骨のミネラルの消費は適切である必要があります。そうでなければ骨のミネラルの貯蔵は底をつき、骨密度は減少してしまいます。これが結果として「骨粗鬆症」という状態につながり、骨折のリスクを増加させることになります。
人の骨格系については、とても硬く動かないイメージで考えられがちですが、実際にはしなやかで状況に応じてに変化していきます。骨は不可に応じて自らを変化させています。この現象は「骨はストレスが加わる部分に変形され、ストレスが加わらない部分の骨は再吸収される」というウォルフの法則(Wolfの法則)によって説明されています。
言い換えれば、骨は筋肉と同様に私たちがどのように使うかに応じて生涯を通じて変化しています。この適用能力については、骨組織をわかるほどさらに明確になるでしょう。
⑤骨はホルモンも放出します
あまり知られていませんがじつは骨はホルモンを放出しています。骨の内部には欠陥が通っていて髄液が詰まっています。ホルモンというと脳の視床下部、副腎や副甲状腺などをイメージしますが骨からはオステオカルシンやオステオポンチンが放出されます。
●オステオカルシンとは?
オステオカルシンは2007年にコロンビア大学のジェラルド・カーセンティ教授によって発見されたホルモンです。
骨を形成する骨芽細胞がつくるタンパク質で、脂質と糖質の代謝と深い関係で働いています。余分な糖分が脂肪に置き換わる代謝の機能を持っています。
その他、たくさんの臓器を活性化する働きがあることが分かっています。膵臓に働きかけ血糖値の上昇を抑えたり、内臓脂肪への返還を阻害させる機能もあるといわれています。また、多くの器官のアンチエイジング・若返りホルモンなのです。
●オステオポチンとは?
オステオポンチンも骨を形成する骨芽細胞がつくるタンパク質で、造血幹細胞のアンチエイジング・若返りとして作用しています。骨以外からもオステオポンチンは放出されて、全身の免疫細胞の量をコントロールし免疫力を高める機能があることが分かっています。
その他に体内の炎症にも大きく関係していて炎症がひどいとオステオポンチンが増加し骨を破壊(骨吸収)させることもありそうです。
骨の機能や役割まとめ
- 人間の骨は全部で206個
- 骨は体を支える
- 臓器の保護
- 体を動かす機能
- 血液の生産工場
- ミネラルと脂質の貯蔵
- 骨はホルモンも放出