関節は骨同士が連結している部分を指します。人体が動くには関節が必要です。ある骨が他の骨と接する面は関節面と呼ばれその骨同士は「関節を成す」と表現されます。関節は機能的な視点と構造的な視点の2つの方法で分類されます。
関節の機能的分類
関節はどの程度可動するかによって機能的に行かねを3つに分類されます。
・不動関節…動きがない、もしくはほとんど動きがない
・半関節…やや可動性がある
・可動関節…全ての関節で最も可動性が高い
不動関節について
不動関節は可能性を持たない関節です。頭蓋にある関節は不動関節に分類されますが、多くのセラピストたちは頭蓋にあるこの関節はわずかにでも動かすことが可能で、この動きが 頭蓋仙骨療法の基本だと考えています。
歯と上顎骨や下顎骨をつなぐ線維性結合の関節も不動関節に分類されます。
半関節について
半関節はわずかに可能性を持つ関節です。椎間関節が半関節の例です。椎体は椎骨の前面を形成し、椎間板を挟み上下の椎体で関節を成します。
その他には左右の恥骨をつなぐ恥骨結合や肋骨、胸骨などに半関節があります。
可動関節について
可動関節は自由に動かせる関節ですが、自由に動かせるというのは一部の例では言い過ぎ かもしれません。手の近位にある手根関節は8つの手根骨で構成されています。
この関節は大きな可動を持ちませんが、可動関節に分類されます。典型的な可動関節には肩関節、肘関節、股関節、膝関節などがあります。
関節の構造的な分類
ここでは関節の構造的な分類について説明します。関節腔を持つか否かということと、どのようなタイプの結合組織が関節を安定させているかによって構造的な分類は決定されます。
線維性結合について
線維性結合と呼ばれる連結はコラーゲン線維が豊富な線維組織によるもので、機能的な分類では不動関節または半関節となります。線維結合の関節は関節腔を持ちません。
頭蓋の骨同士の連結である縫合や、歯や歯槽骨(上顎骨や下顎骨にある歯の入る部分の連結)である釘植は線維性結合に分類されます。また、遠位脛腓関節のような靭帯結合も線維性結合に含まれます。靭帯結合は機能的には半関節に分類されます。
軟骨性結合について
軟骨性結合は関節腔を持たず、硝子軟骨や線維軟骨、またその両方による連結で、わずかな可動性しかありません。軟骨性結合はさらに硝子軟骨結合と線維軟骨結合に分類されます。
硝子軟骨結合は硝子軟骨によって結合されている不動関節です。代表例としては、第1肋骨と胸骨との間の関節が挙げられます。一方、恥骨結合などの線維軟骨結合は半関節に分類されます。線維軟骨結合は連結する骨の表面は硝子軟骨で覆われますが、関節自体は強固な線維結合で連結されています。
椎間板によって連結されている椎間関節や、第一肋骨以外の肋骨と胸骨との間の関節も線維軟骨結合に分類されます。
滑膜関節について
滑膜関節は基本となる4つの構成要素を持ちます。まず、関節軟骨(一般的には硝子軟骨、稀に線維軟骨)が関節を形成する2つの骨の向かい合う面を覆っています。次に関節包が関節全体を取り囲んでいます。
関節包の外側は線維性結合で組織で、内側は滑膜と呼ばれる組織で覆われます。滑膜は関節腔を滑液で満たしています。加えて、多くの滑膜関節には関節の内外に靭帯が存在し、関節構造を補強しています。
いくつかの関節では円盤状の線維軟骨組織(椎間板、半月板)があり、関節の保護や クッションの役目をしています。滑膜関節には以下6つのタイプがあります。どの関節がどのような運動をするかを理解することは、その関節の可動域を適切に評価する際に必要となります。
各関節の運動はその関節をなす 骨の関節面の形状によって制限されます。関節の周囲にある軟部組織(靭帯、滑液法包、筋)の影響も受けます。
滑膜関節の種類は何種類?
すべての滑膜関節はこれまでに紹介した基本構造によって成り立っています。しかしながら形状はさまざまであり、それによって異なる動きが可能となっています。
では、滑膜関節の種類を紹介していきましょう。
①平面関節
②顆状(楕円)関節
③蔵関節
④車軸関節
⑤蝶番関節
⑥球関節
があります。
①平面関節について
平面関節は滑膜関節の中で最も可動性が小さい関節です。そのため無軸関節とも呼ばれています。
通常、平面関節は平らな2つの関節面を持ち、その関節面上を滑る運動しかできません。手根管関節、足根関節や胸鎖関節、肩鎖関節などが平面関節に分類されます。
②顆状関節(楕円関節)について
顆状関節(楕円関節)は屈曲、伸展、外転、内転の4つの運動に加えて分回しも可能です。この関節は卵とお椀の関係のような凸面と凹面の関節面を持ちます。
この関節は2方向の運動が可能ですが、回旋運動はできません。手関節や椎間後頭関節、中手指関節などが顆状関節(楕円関節)です。
③鞍関節について
鞍関節は一方が凸型、もう一方は凹型の2つの関節面によって成り立っています。鞍関節はオートバイの運転者がサドルに座るように結合していることから鞍関節と呼ばれています。
この関節も二軸関節であり拇指の中手骨近位と大菱形骨で形成される手根中手関節にあります。これは拇指特有の動きを可能にしていて、他の指節には存在していません。そして鞍関節は顆状関節の分回しよりも大きな可動性を持ちます。
④車軸関節について
車軸関節は回旋運動のみが可能です。車軸関節は凹んだ関節面と丸い関節面の間で形成される関節です。この関節は骨が輪状になり、そこに他の骨の長軸が入り込んで形成されることもあります。
前腕の橈尺関節や第1頸椎と第2頸椎で形成される環軸関節が車軸関節に分類されます。
⑤蝶番関節について
蝶番関節は一方の骨に円筒型の突起があり、もう一方にはそれに対応した凹みを持っていてそれらが結合して関節を形成しています。
蝶番関節は一軸関節であり、1つの運動面で動きます。その動きはドアが開閉するように屈曲と伸展の運動しかできません。肘関節、膝関節 足関節(距腿関節)が蝶番関節にあたります。
⑥球関節について
球関節は一方の骨に球型の関節頭があり、もう一方には球型の窩を持っています。球関節の可動性は他の関節よりも最も高く、矢状面、前額面、水平面の3面すべて動くことから、多軸関節(三軸関節)だと考えられています。
球関節の例として肩の肩甲上腕関節や股関節があります。