骨は身体全体の構造を形成する固い結合組織です。前回お話ししましたが、骨の重要な機能として、臓器の保護や血液の製造やミネラルの貯蔵があげられます。
加えて骨は筋肉の付着部となったり、骨同士で関節を形成して運動を生じさせたりする機能があります。今回はその中で骨の組織や骨の形などを紹介していきます。
骨の組織は2種類あります
骨には「緻密骨」(皮質骨ともいう)と「海綿骨」という2つのタイプの組織があります。緻密骨は 骨の外層を覆い、骨構造をより強固にしています。一方、海綿骨は緻密骨の深層にあり、浸透性があります。
海面骨は骨小柱(または骨梁)と呼ばれる細い梁状の骨で構成され、それらは格子状の構造をしています。骨小柱の隙間(間隙)は血球を造る機能を持つ赤色骨髄で満たされています。
骨の組織の海綿骨について
海綿骨は赤色髄で満たされた多裂孔の骨組織による3次元の格子を構造しています。海綿骨は親密骨よりも密度が低く、スポンジのような組織です。 海綿骨の支柱である骨梁はストレスや衝撃の方向によって吸収されて再び元に戻ります。
これは建物を支えるために用いる筋交い(ブレース)のように骨に最大の強度を与える役割をしているのです。海綿骨は通常、骨の中心、緻密骨の奥側に存在します。より密度が高く、外側に位置する緻密骨の脈管からの血管系を通して、中央の海綿骨に栄養が供給されています。
骨の組織の緻密骨について
緻密骨について最初に気づくことは、海綿骨に比べて密度がかなり高いということです。いくつか注目する構造を紹介します。骨基質中の小さな穴に骨細胞は存在しています。
これらの穴は「骨小腔」と呼ばれ、中央の「ハーバス管」周囲にある「骨層板」といわれる同心円に囲まれています。また、血管と神経は ハーバス管を通って、組織に栄養を運搬していることが確認されています。
骨層板とハーバス管は単骨位(ハーバス系とも呼ばれる)と呼ばれる骨の機能単位を構成しています。骨単位の雰囲気は大きい年輪のような形をしています。いくつかの脈管がハーバス管から拡散されています。骨細管は緻密骨の基質を貫通し、微細血管や神経枝を骨細胞とつなげています。フォルクマン管(間通管とも呼ばれる)はハーバス管と垂直につながっていて、この2つの脈管は骨の表面から内部までの経路を完成させています。
骨の形はどんな形で何種類あるの?
骨にはその作用によって必要な形があります。その種類は5種類あります。
・長骨
・短骨
・扁平骨
・不規則骨
・種子骨
に分類されます。
長骨はどんな骨?その特徴は?
長骨は幅よりも長軸が長い骨と定義され、上腕、前腕、手指、大腿、下腿、足趾の骨は全て 長骨に分類されます。典型的な成人の長骨では海綿骨は骨の近位骨端と遠位骨端のみ存在します。
骨幹の中心には髄腔が開いており、髄腔は骨髄と脂肪組織で満たされています。
短骨はどんな骨?その特徴は?
短骨は小さく四角形に近い形をしていて、外層は緻密骨で内層は海面骨で成り立ちます。多くの手根骨(手の近くの骨)や足の足根骨が短骨に分類されます。
扁平骨はどんな骨?その特徴は?
扁平骨は平らで海綿骨が緻密骨に挟まれて存在するような骨です。肋骨、胸骨、肩甲骨、頭部の多くの骨が扁平骨です。
不規則骨はどんな骨?その特徴は?
不規則骨は変わった形をした骨です。椎骨や顔面の骨は、扁平骨に分類されます。
種子骨はどんな骨?その特徴は?
種子骨はゴマのような形をしており、膝蓋骨は最も有名な種子骨です。それ以外の種子骨の有無には個人差がありますが、一般的に種子骨は腱の中に存在します。
軸骨格と付属肢骨格について
人体には206個の骨があり、これらは軸骨格と附属肢骨格に分けられます。軸骨格の骨は、身体中心の垂直軸を形成します。軸骨格に含まれる骨を紹介します。
軸骨格にはどういう骨がある?
軸骨格は身体の軸、つまり身体の中心を形成しています。軸骨格は頭部と体幹の骨によって構成され、頭蓋と舌骨、胸骨肋骨椎骨仙骨尾骨を含む関連骨によって構成されています。典型的な成人の骨格系では80の軸骨格があります。
・頭蓋の(脳頭蓋と顔面頭蓋)を構成する22個の骨、付属骨(6個の耳小骨と舌骨)
・脊柱を構成する26個の骨(椎骨、仙骨、尾骨)、左右24本の肋骨、そして胸骨です。
付属肢骨格にはどういう骨がある?
附属肢骨格は軸骨格に「付属」しています。典型的な成人の場合、以下の構造に126の付属肢骨格があります。
・付属肢骨格に含まれるのが、上肢と下肢の骨、そして軸骨格と上肢と下肢をつなぐ上肢帯と下肢帯の骨です。
・2つの肩甲骨、鎖骨、上肢にある左右2つの上腕骨、尺骨、橈骨
・左右16個の手根骨(舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨、大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨)
・左右10本の中手骨
・左右28個の手の指骨(末節骨、中節骨、基節骨)があります。
・骨盤帯の左右の2つの寛骨
・左右の 2つの大腿骨、膝蓋骨、脛骨、腓骨
・14個の足根骨(踵骨、距骨、舟状骨、内側楔状骨、中間楔状骨、外側楔状骨
・10本の中足骨
・28個の足の趾骨(末節骨、中節骨、基節骨)も付属肢骨格に含まれます。
骨の各部分の13種類の名称を紹介
骨は骨により全く形が異なります。骨のポイントの部分によって名称があります。その名称には以下のようなものがあります。
①骨頭(こっとう)について
骨頭は丸みを帯びていて、多くの骨において遠位または近位の骨端にあります。骨頭に近接する細い部分を頚部と呼びます。骨頭にはソケット型の骨のくぼみにうまくはまり、球関節を形成するものもあります。
その他の骨頭の多くは他方のやや平坦な骨頭で関節をなしますが、この場合には 動きが限られます。上腕骨と橈骨は分かりやすい骨頭ですね。
●②顆(か)について
顆は拳の意味で、骨の遠位骨端や近位骨端にある丸みを帯びた部分です。(後頭骨にある後頭顆は骨の下面にあります)大腿骨顆と脛骨顆、そして上腕骨の骨端にある上腕骨滑車と上腕骨小頭などがあります。
●③上顆(じょうか)について
上顆は顆の上や顆の近くで盛り上がった小さな部分のことです。上腕骨内側上顆と外側上顆はよく上顆がわかります。
●④結節(けっせつ)について
結節は小さく丸みのある時です。上腕骨の結節は分かりやすいです。
●⑤粗面(そめん)について
粗面は丸くザラザラした面のことを表します。粗面は一般的に結節よりも大きいです。上腕骨の三角筋粗面と橈骨粗面は 分かりやすいです。
●⑥転子(てんし)について
転子は大腿骨近位のおおきな突起で、大転子と小転子が分かりやすいです。
●⑦突起(とっき)について
突起と呼ばれる ランドマークが多くの骨にあり、それぞれの部位に応じた名称がつけられています。烏口突起、鈎状突起などがあげられます。
●⑧稜(りょう)について
稜は隆起した細長い部分を表します。例としては腸骨稜があります。
●⑨棘(きょく)について
棘は細く尖った突起のことを表します。例としては肩甲棘があります。
●⑩窩(か)について
窩は浅いくぼみのことを表します。腸骨窩を確認してみましょう。
●⑪溝(こう)について
溝は細長い一直線のくぼみを表します。結節間溝は上腕骨の近位部の前面にあります。
●⑫面(めん)について
面は滑らかで平らな骨の関節を表します。面は肋骨や椎骨にあります。
●⑬孔(こう)について
孔は骨表面に見られる 丸い穴を表します。一般的には神経や血管は孔を通過します。