関節の主な運動は運動面から関節運動(屈曲、伸展、外転)などがありますが、これらの運動は「主運動」と呼ばれています。
反対に「副運動」とは、相対する関節の結面上の運動のことをいいます。主運動の可動域は健常な副運動に依存しています。そして、副運動は関節を取り囲む滑液包と靭帯に生じています。
ある程度の緩みに依存しています。この緩みは「関節の遊び」と呼ばれています。 転がり 、滑り、軸回旋という用語 によって、主運動が起きる際に関節面の間で何が起きてるかを説明していきます。
副運動は、主運動時の適切な関節位置の維持に役立っています。また、副運動は関節面の圧迫や離開も防いでいます。
副運動の「転がり」について
転がりとは、一方の関節面における連続した点と、もう一方の関節面の対応した連続点が接触することです。これは自動車が走る時、タイヤのさまざまな部位が地面のさまざまな場所に接触し、タイヤの跡が残ることに類似しています。例えば、膝が屈伸するに伴い、大腿骨顆は脛骨上関節面を転がっています。
転がりの動きのイメージ
転がりは一方の関節面における連続した点(AとB)と、もう一方の関節面が対応した連続点(aとb)が接触する時に起こります。
副運動の「滑り」について
滑りとは一方の関節面の1点が他の関節面の連続した点に接触することです。これは、横滑り運動(タイヤは回転していないが、自動車は前進する)に類似しています。滑りはまた、平行移動ともいわれています。
滑りと転がりはしばしば 同時に起こり、最適な関節位置を維持しています。
膝関節を例としてあげてみましょう。ここでは、椅子に座る運動をイメージしてみましょう。膝が屈曲するにつれ、大腿骨が後方に転がり前方に滑ります。このことが2つの関節面の最適な接触を維持させています。
また、椅子からの起立動作をイメージしてみましょう。膝の伸展時には大腿骨は前方に転がり後方に滑ります。
膝関節の転がりと滑りについて
転がりと滑りは理想的な関節位置を維持するために しばしば 同時に起こります。
A: この側面図では膝の屈曲時に大腿骨の後方への転がりとともに脛骨上の前方への滑りが生じてます。
B:膝 新天地には大腿骨の前方への転がりと共に脛骨上の後方への滑りが生じています。この副運動は脛骨が固定された状態での凸凹の法則に則っています。
関節の凹凸の法則とは?
「凹凸の法則」によって、滑りと転がりの方向が決定します。この法則では、関節面の形状が関節の動きを決定しています。ほとんどの関節面は凸型(外に向けて丸い)か凹型(内に向けて丸い)です。
凹型の関節面(脛骨近位)が固定された凸型の関節面(大腿骨遠位)上を動く場合、滑りは転がりと同方向に生じています。反対に凹型の関節面(大腿骨遠位)が固定された凹型の関節面(脛骨近位)上を大きく動くとき、滑ると転がりは反対方向に生じます。
この法則によれば、膝関節の副運動の種類は、対象が荷重位(立位では脛骨は固定されている)であるか、それとも非荷重位)または臥位では大腿部が固定される)であるかに依存しています。
凹凸の法則のイメージの図です。この法則が滑りと転がりの方向を決定しています。関節面の形状はそれがどのように動くかを決定するというものです。ほとんどの関節面は凹面か凸面です。どちらの側が固定されているかによって、副運動の方向が決まります。
滑りの動きのイメージ
滑りは、一方の関節面の1点(A)が他の関節面を連続した点(aとb) に接触するときに起こります。
副運動の「軸回旋」について
軸回旋とは、一方の関節面が固定された長軸上で時計回り、または反時計回りの方向に回旋することです。この運動は車軸の周りを回転するタイヤの動きによく似ています。
膝関節は螺旋関節であり、わずかに回旋が生じています。膝の伸展の最終伸展域で脛骨は大腿骨に対して外旋します。
図2-10 膝関節の最終伸展時に大腿骨に対して脛骨が軽度の外旋運動を起こし、これによって関節が固定された位置に配置されます。
膝関節が回旋して固定されることで、膝の完全伸展時の安定性が高まります。この膝の屈曲開始時に関節の固定を解除するために、反対の軸回旋運動(脛骨の内旋)が生じます。
軸回旋の動きのイメージ
軸回旋は一方の関節面(A)が固定させられた長軸上(aとb)で時計回り、または 反対側の時計回りの方向に回旋するときに起こります。
副運動のまとめ
副運動とは関節面間の動きであり、運動と共に起こります。副運動は圧迫を低減させ、動作に最適な関節のアライメントを維持させます。
副運動には下の3種類があります。
- 転がり
- 滑り
- 軸回旋