1日のうちで身長は変化する?椎間板の厚みは朝晩で伸び縮みします
夕方までに潰されて狭くなった椎間板の厚みは、夜に横になるとまた膨らみ元の状態に戻ります。だから身長は朝と晩で変化し、伸び縮みするのです。
椎間板の伸縮は骨より柔らかいからかかる力で形が変わります。
椎間板は、骨に比べれば柔らかい組織ですから、上半身のかかる重みの力に応じて形が変わります。
大げさに言えば、1日のうちで夕方になると、それまでの体の重みで椎間板の厚みが押し潰されて減り、一晩横になると、また元通りに膨らむという傾向があります。
一つの椎間板でほんのわずかな差ですが、脊柱全体では、数mmもの差となって表れます。
身長がやや足りない若者が相撲取りになりたい一心で、新弟子検査前の数日間はずっと横になって身長を伸ばしたという話があるくらいです。それでもわずかに足りない人は、頭のてっぺんにコブを作り身長をけせいだという話もあります。
さて、椎間板を連結させているのは椎間板だけではありません。椎間板の様なクッションだけでは、まだ不安定だからです。
連結はまだ不十分ですので「靭帯」という「連結ひも」があります
実は、椎弓、すなわち指輪のリング部分も上下に靭帯というしっかりとした線維組織で繋がれています。
靭帯は、人間のあらゆる関節に必ず存在する、連結のひもです。幅広く帯状になっているので、靭帯と言われるのでしょう。
これで脊椎の連結は万全、と言いたいところですが、椎間板や靭帯という線維だけでは、激しい動きをする者にとって、どうしても今ひとつ強固ではありません。
例えば深くお辞儀をした時に椎骨が前方へズレてしまう、といったとても危険をはらんでいるからです。
背骨が取れない理由はリングの上下にある左右一対の突起です
今までは話を分かりやすくするために、椎弓を指輪のリングとして説明してきましたが、リングのような単純な形の連結だと、上下間のズレにはどうしても弱みがあります。
その弱みを補うために、実はリングには上にも下にも、左右一対ずつ「出っ張り」があり、これが瓦状に組み合わさって、上下の連結をしっかりとさせているのです。
これらの突起が巧妙な構造をしているおかげで、お辞儀をしても背骨がズレなくて済むのです。この突起の組み合わせも、小さいけれど立派な椎間関節(ファルセット)です。
背骨は前後にS字のカーブを構築しています
脊柱を動かす原動力は筋肉です。脊柱をがっちり囲んで背骨を横に曲げたり後ろにそらしたりします。
椎骨の7つの突起は真後ろの棘突起も靭帯で繋がっています
椎骨には、ファルセットの他に真横にも真後ろにもときがあります。特に真後ろの尖った時は棘突起と言って、痩せている人なら首の後ろから背中、腰と体の真ん中の皮膚のすぐ下に硬く振れる骨です。
この棘突起も靭帯によって、上下がしっかりと連結されています。このように一つの椎骨には少なくても女の子の時があることになります。されに脊柱は、周りを筋肉でがっちり囲まれています。
脊柱を動かす動力源が筋肉だからですまるといっても、脊柱にじかに張り付いてる筋肉は主に側面と後面で、それぞれ背骨を横に曲げたり後ろにそらしたりします。
四足歩行だった名残で骨盤が傾いているため前弯というカーブができました
背骨を前後から見ると、まっすぐなのが普通です。ですから何かの理由で横に曲がった状態は側弯症と言われています。
ところが、背骨を横から見ると、今度は綺麗なS字のカーブをかいてるのが普通です。
これは、胎内にいたときには丸まっていた背骨が、生後、首を持ち上げはいはい押し出すと、後ろへの出っ張りの首のカーブが、前への出っ張りのカーブにバランスを取ろうと変化します。
さらに、立って歩くようになると当然今度は腰椎が同じようなカーブを作るようになるからです。
つまり、大黒柱のところで述べたように背骨の傷そうになる骨盤が、四足動物の名残のためか、中途半端に傾いてるため、腰椎がその分、後ろへカーブして全体としての背骨をまっすぐにしなければならないのです。
頚椎や腰椎のように、前が出っ張っているカーブを前弯と言いますが、この前弯は実はくせものです。腰痛になりやすいのは、この腰椎の前弯により上半身の重みが上手に足元に逃げてくれないからです。
いわゆる反り腰と言われる状態がさらなる慢性的な腰痛を生むのです。
筋肉こそが天然のコルセットです!腰痛予防に最適
脊柱の周りの筋肉を読まれる現代人の生活習慣こそ腰痛と大きな関係がありそうです。
脊柱を動かすだけでなくしっかりと支える背筋、腰筋、腹筋など
脊柱の中でも腰椎にスポットを当てると、後方には、いわゆる背筋、腰筋と呼ばれる脊柱起立筋があり、これは皮下脂肪が少ない人ならば、外からでもはっきり分かります。
傍脊柱筋と言ってもただ一つの筋肉ではなく、多数の筋肉が束となっているのです。これ以外にも頸部や背部、腹部につながる扁平な筋肉が腰全体を覆っています。
その他、腰椎の側面には骨盤や大腿の方へ向かう筋肉がついています。ところが意外にも、腰椎の前面には筋肉はあまりついていません。
では、腰を前に曲げる筋肉は何でしょうか?
これは主に腹筋です。ご存知の通り、腹筋はお腹の前面に付いています。腹筋と腰椎の間は腹腔と呼ばれるスペースで、内臓や血管など重要な臓器があります。
ところで、今述べた背筋、腰筋や腹筋は単に脊柱を動かすというだけでなく、前後左右から背骨をしっかりと支える、大切な役目も担っています。脊柱にとっては天然のコルセットと言ってもいいものです。
この天然のコルセットが弱くなるような現代人の生活習慣が、腰痛に大いに関係がありそうです。
脊髄を守る脊柱の働きとは?
神経組織がぎっしり詰まった脊髄は外からの力には極端に弱いので、脊柱の中で守られています。
脊髄は神経組織で脊髄の内の腰髄が腰、大腿、ふくらはぎなどを動かします
さて、脊柱は脊髄を入れる入れ物であると述べましたが、その脊髄とは大木さは小指くらいで、長さは約45CMくらいの、脳から下の方に伸びた神経組織で、神経細胞とそれを結びつける神経線維がぎっしり詰まっています。
脊髄の内側では手足から脳に送る知覚情報や、脳で処理されて末梢に命令する情報が、ところ狭しと飛び交っています。手、足や胴体のあらゆる情報は、ほぼ全て脊髄を経由するので、脊髄の細さを考えると、遊休地も結構あると言われている脳に比べて、脊髄は密度の濃い組織と言えます。
ですから、交通事故などで、脳挫傷を負っても、いずれ跡形なく回復する人も多いのですが、脊髄を痛めると、いっぺんに両手、両足のマヒとなり、回復しない例が多いのです。このように脊髄は、外からの力には極端に弱いので、脊柱管の中でしっかりと守られているのです。
脊髄は脊柱管という管の中を上から下に向かって伸びています。 しかしその最下端は第1腰椎の下ぐらいまでしかありません。
言い換えれは、脊髄は脊柱より短いのです。その脊髄は、場所により頚髄、腰髄と呼ばれています。頸髄は首、肩、腕、手などに行く神経を、腰椎は腰、大腿、ふくらはぎなどに行く神経を、それぞれ担当し神経支配をしています。
椎骨の数だけ左右1本ずつ枝を出す脊髄から出る神経の枝とは?
脊髄からは、椎骨の数だけ左右に一本ずつ枝だが出ています。頚髄から出るのは「頚神経叢」、腰髄から出るのは「腰神経叢」と、場所によって名前は変わりますが、これらは、「末梢神経」という神経線維です。
一本一本の末梢神経は、何それぞれ決められた隙間、例えば第1腰神経なら第1腰椎の下のすき間、第5腰神経は第5腰椎の下のすき間を通って脊柱管を抜け出し、体の隅々に行き渡るのです。
ところで、頸神経は頸髄から出てすぐ脊柱管から抜け出すのですが、腰神経では、腰髄から出てくる場所と、その腰神経がくぐり抜けるはずの腰椎とは、距離が大分離れています。
すなわち腰髄から出た神経はかなり下の方まで来て、初めて脊柱管から離れて抹消へ向かいます。それは脊髄が脊柱管より短いからです。したがって、脊髄最下端からさらに下の脊柱管の中には、下方へ向かう複数の神経線維だけが束となって走っています。
この神経線維の束は、馬の尻尾に似ているので「馬尾神経」と呼ばれています。
馬尾神経は坐骨神経から枝分かれして腰や足の隅々に届きます
この馬尾神経一本一本の、脊柱管から外に出る部分を神経根と言いますが、その神経根は下方へ伸び、さらに細い枝を出しながら他の神経の枝と合流し、骨盤の中で一本の太い神経を再形成します。
これらが「坐骨神経」です。骨盤の中では指の太さほどの坐骨神経も、再び木の根のようにあちこちに枝分かれをし、ついには極細い神経となって、お尻や大腿の裏側、ふくらはぎ、足の指に向かい隅々に行き渡ります。
このように、脊髄から出た神経の枝は、「末梢神経」と呼ばれます。
一方、脊髄や脳のような神経細胞のかたまりは、「中枢神経」と呼ばれます。これらはちょうどコンピューターの中の配線が末梢神経と、IC チップが中枢神経、そんな関係に似ています。
とにかく、神経根や馬尾神経などは後で述べる坐骨神経痛と大いに関係がある神経です。このように腰は、骨、関節、軟骨、靭帯、神経と脊髄、馬尾神経、神経根、筋肉など、器械的にも機能的にも複雑な構造で成り立ち、そのために、どこかにちょっとした、ひずみが生じても不具合が起こりやすく、その障害も複雑になります。
脊髄から一本ずつ神経の枝が出ると言っても、その一本とは肉眼で見た1本で、実際には、神経線維という直径0.5から20マイクロメートルの細い線維が何十、何百と束になっています。