肩甲骨のコリに対しては収縮と弛緩の繰り返しがポイントです。
姿勢が崩れて猫背になると、肩や腕が前に出ます。腕に肩甲骨どうしが遠ざかる「肩甲骨の外転」がおこります。 肩甲骨が内転したまま固まった肩甲骨周りでは、筋肉はこわばって血流が悪化しています。
すると肩こりや首の痛み、背中のこりが発生するのです。コリや痛みを感じると、体は更に緊張します。筋肉が硬くなり、不快な症状も増えていく…これが肩甲骨と筋肉の悪循環です。
今回はこの肩甲骨のこりや痛みの悪循環を解消・改善するための方法を解説していきます。
肩甲骨とコリの悪循環を改善
先ほどの話の肩凝りや首の痛み背中のこりを止める対策がストレッチです。試しに肩の筋肉に力を入れたあと、緩めてみてください。 肩周りにじわりと血液が流れる感覚がありませんか?
軽く収縮させたあと緩めると、筋肉がリラックスして血流が促進されるのです。背中側の筋肉が「伸びっぱなし」、胸側の筋肉が「縮みっぱなし」になっていても、少し力を加えただけで変化が現れたのを実感できたことでしょう。
これを繰り返せば、 血流は段々と良くなっていきます。
ストレッチこそ肩甲骨のコリや痛み解消
ストレッチとは直訳すれば「伸ばす」という意味ですが、正確に言えば「収縮を繰り返す運動」です。
小胸筋や前鋸筋など、ずっと縮こまっていた体の前面の筋肉を伸ばすとき、背中側の筋肉は、久々に収縮することができます。いったん収縮させてから伸ばせば、より強さと柔軟性を取り戻せます。
強い筋肉は血管の心強いサポート役
心臓から末梢へと血液を運ぶ動脈に比べ、末梢から心臓へ血液を戻す静脈は血圧が弱く、ともすると血流が滞ることもあります。しかし柔軟で元気な筋肉が、ポンプのように正常に収縮すれば、その助けを 借りて血液をスムーズに流せるのです。
そのことにより、肩甲骨と連動している、僧帽筋や肩甲挙筋、ローテーターカフ(回旋腱板)の棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋などのコリや痛みの解消につながるでしょう。
肩甲骨を動かさなくても痛いのは内臓の病気?
なお肩や首の痛みは「肩甲骨のトラブルではない可能性」の場合もあります。
内臓疾患等の重篤な病気が、たまたま肩の痛み、背中の痛みという一症状としてあらわれるケースも少なくないのです。特に胸部の内臓疾患は、首や肩に痛みを生じることがあります。
そもそも胸部の内臓は、発生学的に「首から広がってきた組織」です。ですから、これらの内臓の神経は頸椎から出ていて、異変があると「首や肩がおかしい」と感じることが多いのです。
次のような病気には前兆があります
・胃がん:肩から腕に神経痛のような痛みが出る
・肺結核や肋膜炎:首や背中が痛む
・狭心症や心筋梗塞:左の胸肩腕が痛む
・胆のう炎や胆石:右の肩甲骨が痛む
これらの痛みを単なる「肩甲骨のトラブル」と区別するには、姿勢や動作によって変化があるかどうかをチェックすることが大切です。
首を上に向けたり、かしげたりといった動きによって痛みが強くなるなら、肩こりや首の痛みです。静止していて痛い場合も、腕を上げるなど、ある動きの時に特に痛むなら「四十肩・五十肩」と考えていいでしょう。
それに対して、どんな姿勢でも変わらず激しい痛みが続くなら、内臓疾患の疑いがあります。夜も眠れないほどの痛み(夜間痛)なら、より疑わしい症状になります。早急に医師の診察を受けた方がよろしいかと思います。
肩甲骨の動きと肩こりや首の痛み背中のこりは非常に関係があります。逆に言うと肩甲骨の動きを良くすれば、肩こりや首の痛み、背中の症状は緩和されると思います。
この悪循環を改善、解消するには、猫背矯正とストレッチが一番得策です。正しい骨格のバランスで姿勢を正しい状態にするのと、ストレッチで筋肉の柔軟性を作り出せば、 悩みは解決すると思います。
しかし、全ての症状が肩甲骨の動きの原因だけではありません。ごく稀にですが、内臓疾患の反射として首や肩、背中に症状が現れることがあります。特に夜間痛(夜に痛みが増す)の症状に関しては、お医者さんに早めに相談したほうがよろしいかと思います。