かつては、50歳代に好発する原因のはっきりしない方の疼痛と可動域制限を主訴とする肩関節疾患を総称していましたが、現在では原因ははっきりした腱板断裂、石灰性腱炎を除いた疾患 群を肩関節周囲炎、四十肩、五十肩と呼んでいます。
肩関節周囲炎(四十・五十肩)の原因
日々の慢性的な肩こりによるもの、加齢や運動不足による肩関節、筋肉、肩周辺組織の変性が原因で発症すると考えられています。
肩関節周囲炎(四十・五十肩)は6種類
1:腱板炎を紹介
・腱板の変性を基盤とする疾患です。特に棘上筋腱(腕の外転時に痛みが出る)
2:石灰沈着性腱板炎
・この症状はほとんど棘上筋に生じます。石灰塩が骨棘になり肩峰下滑液包にふれ炎症を起こし、痛みにより可動域制限をきたします。
3:肩峰下滑液包炎を紹介
・烏口突起間アーチと腱板の間に存在し、単独で起こることはまれで腱板炎などと合併して起こります。
4:腱板損傷とは?
・肩関節周りの回旋腱板(ローテーターカフ)の部分断裂と完全断裂があります。
※回旋腱板(ローテーターカフ)は棘上筋(外転)棘下筋(外旋)小円筋(外旋)肩甲下筋(内旋・水平屈曲)で腕の動きに作用する肩甲骨周辺の筋肉の事です。
5:上腕二頭筋長頭腱炎について
・上腕骨頭に存在する結節間溝に上腕二頭筋の長頭の腱がこすれたり、その件が離脱して起こる症状です。
6:凍結肩はどういう症状?
・40・50歳代に多くあらわれる症状のいわわゆる五十肩です。痛みが徐々に増悪し、肩関節の痛みによる運動制限が現れます。
肩関節周囲炎の臨床所見
・主な症状は疼痛と可動域制限です。電車のつり革を掴む動作、衣服の着脱や髪を結ぶ時(髪結い動作)、ブラジャーのホックの脱着、昔でしたら帯を結ぶ動作(結滞動作)など、様々な日常生活動作が困難になります。
・典型的なな肩関節周囲炎、四十肩、五十肩は凍結進行期(フリージング期)、凍結期(フローズン期)、回復期(ソーイング期)の症状の移行があり、約1年程度で改善します。
・凍結進行期には肩から腕にかけての痛みで肩関節の運動が制限され、安静時痛や夜間痛(痛い方を下にした時の側臥位痛が特徴的)も出現し、徐々に拘縮が進行してしまいます。
・凍結期になると、拘縮が完成し、肩の可動域制限が強くなりますが、肩関節の痛みや可動域制限は改善に向かいます。解凍期で日常の動きで痛みやが徐々になくなり可動域が回復します。
肩関節周囲炎の検査方法、診断、分類
・肩関節周囲炎、四十肩、五十肩の単純 X 線検査で特有の所見はありません。
・石灰腱炎の単純X線写真は下のような写真で現れます。
肩関節周囲炎、四十肩、五十肩の治療方法とは
・肩関節周囲炎四十肩五十肩の治療方法としては保存療法が基本です。
・凍結進行期の痛みや可動域制限が強い時期は、肩関節の痛みのある患部の安定、ヒアルロン酸注射や副腎皮質ステロイド薬の注射などの薬物方法を行うこともあります。
・理学療法として下の図のような可動域改善のための体操を行います。
・近年は超音波ガイドした腕神経叢ブロック後に痛みや可動域制限を改善するマニピュレーションを行うこともあります。・昔からあるアイロン体操も改善運動の一つとされています。