円回内外筋ってどんな筋肉?
円回内筋は橈骨の前面を、尺骨と上腕骨内側上顆の方向へ引っ張るために、橈骨は内側に回転、すなわち前腕が回内します。
円回内筋は回外筋と同じサイズで、拮抗する作用があります。回外筋と同様、深筋ではあるが、その際筋肉を通して圧迫することができます。肘関節の屈曲に伴って、前腕を回内するときによく使われます。
今回はその円回内筋の解剖学、痛みを取るほぐし方、筋トレ方法やストレッチもご紹介していきます。
円回内筋の機能的解剖
円回内筋は前腕近位の前面を横切り、橈側手根屈筋の外側に位置しています。この筋肉は前腕を返し、手掌を回内させる機能があります。また、肘関節の屈曲にも関与しています。
ヴィジュアル機能解剖学 南江堂
どちらの作用においても力強く働き、ドアノブをひねる、雑巾をしぼる、ドライバーやレンチ、その他のひねりを必要とする工具を使う時には円回内筋の強い収縮が不可欠です。円回内筋は投球のような頭上の動作で損傷しやすいことがあります。そのような損傷は、前腕を返し、手掌から先導する(回内)する時に生じます。
その際、円回内筋は腕を捻る収縮を起こすと同時に、肘の伸展とともに伸展しなければいけません。これにより、円回内筋の起始部である内側上顆での炎症が引き起こされてしまいます。
ヴィジュアル機能解剖学 南江堂
名前の由来
円回内筋は丸みがあって前腕の回内機能に関与することからこの名前がついています。
円回内筋は明らかな円形をしているわけではなく、むしろ円柱状の筋肉です。
位置と起始部と停止部は?
円回内筋の位置
円回内筋は前腕の前面の近位表層にあります。
起始部
上腕骨の内側上顆、尺骨の鉤状突起
停止部
橈骨の中央から近位の外測
大きな特徴とは?
円回内筋は二つある回内筋の中ではより強いため、強力な回内が必要な時に特に機能します。正中神経は回内筋が2頭の間を通過するため、この筋によって圧迫されると円回内筋症候群を発症します。
マッサージのための機能解剖学
一般的には、円回内筋の使いすぎや外傷によってこの円回内筋症候群が発症します。
円回内筋触診方法とほぐし方
円回内筋は前腕の前面で上腕骨内側上顆から橈骨前面の中央にかけて触診します。
揉捏方や強擦法がこの筋の一般的なマッサージ方法やほぐし方です。
触診方法
円回内筋は上腕上部の前内側で触診できます。
肢位:患者さんは仰臥位に寝てもらいます。患者さんの前腕は回外位(手の平が上)とします。
1:他動的に肘を曲げ、前腕回外位とし、組織を弛ませます。
2:施術者は患者さんの横、腰の位置に座ります。
3:内側上顆を拇指で確認します。
4:拇指を遠位かつ、外側にずらすと、円回内筋の筋腹があります。
5:患者さんの前腕回内に対して負荷をかけながら、適切な位置を確認します。
回外筋のマッサージやほぐし方
◆回外筋のストリッピングと指圧方法
1:患者さんに背臥位をとってもらいます。
2:施術者は患者さんの横、腰の位置に立ちます。
3:もう一方の手で患者さんの手のひらを上にして腕を保持し、もう一方の手の拇指を前腕の中央、肘の横紋から少し遠位に置きます。
4:しっかりと組織を押圧し、拇指を上方及び尺骨方向に肘の横紋を越えて、上腕骨内側上顆の付着部まで滑らせます。
円回内筋の筋トレ方法
回外筋の筋肉を鍛えるには回外筋と同じ筋トレ方法ですが、 腕が回内に向かう時に回内筋が鍛えられます。
テーブルに尺側(小指側の骨)が下になるように前腕を置き、手首から先をテーブルから出します。次に柄の長い鉄アレイやハンマー(女性は長い棒でもOKです)をハンマーヘッドが天井側の上になるように握り、前腕を回内させます。
柄の長さをより長くしたり、ハンマーヘッドをより重くすることで、負荷が大きくなり、円回内筋を鍛える筋トレになります。
円回内筋のストレッチ方法
円回内筋のストレッチ方法は、前腕を完全に回外位とし、肘関節を完全伸展します。
円回内筋のその他の詳細
硬くなる、弱くなるでなる症状は?
・硬くなると(短縮):
前腕を回外することが難しくなります。
・弱くなると(伸長):
前腕を回内する力強さが弱くなります。
共働筋
●前腕の回内
・方形回内筋
拮抗筋
関連痛領域
・前腕の掌側の外側縁、特に手首と拇指の付け根にかけて
その他の検査対象筋
神経支配と血管供給
・支配神経:
正中神経 C6~C7
・血管供給:
尺骨動脈、橈骨動脈