
長掌筋は解剖学的な位置の関係で橈側手根屈筋や尺側手根屈筋が、ただ単に手首を屈曲するだけではなく、手首を外転(撓屈)、内転(尺屈)するなど複数の作用にに対して、手首の中央を貫通してるために手首の屈曲としてのみ働いています。
今回はその長掌筋を鍛える筋トレ、ストレッチや痛みをとるマッサージ方法、ほぐし方や機能と役割や長掌筋の位置や起始部と停止部なども徹底解説します。

前腕の屈筋群「長掌筋」を鍛える筋トレやストレッチ
長掌筋の鍛え方やストレッチをご紹介する前に、この長掌筋がどのような役割や作用をしている筋肉かや、起始部停止部なども知っておく必要があるでしょう。
その上で筋トレやストレッチをした方がより効率的で効果があらわれやすくなると思います。
長掌筋を鍛えるための筋トレ方法として、橈側手根屈筋で紹介した『リスト・カール』で長掌筋を鍛える筋トレになります。
長掌筋はどんな役割の筋肉?その機能的解剖とは?

長掌筋は前腕の前面中央の橈側と尺側手根屈筋の間に位置しています。このような場所にあることから、手関節の外転、内転には関与して いなく、手関節の屈曲のもに作用している筋肉です。
長掌筋は手関節の屈曲および手関節を越えて第2指~小指の腱鞘に広がってつながる結合組織の網である手掌腱膜に緊張を与えます。手掌腱膜の緊張は、手指の屈曲を補助しています。
この機能は、掴んだり、握力を保持することに関与しています。起始が内側上顆(ないそくじょうか)にあるため長掌筋は肘関節屈曲にも関与していますが、上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋とと比べると、この動きに関する長掌筋の作用は弱いようになっています。
肘関節がほぼ完全伸展にある場合、関節の安定性を高めることに貢献してるかもしれません。事実、ゴルフや投球をしたり、テニスやバレーボールにおいて頭上で打つ動作を行ったりする時などもヒジがほぼ伸展位にあり、強力な手関節屈曲が求められています。


前腕(前腕屈筋群)を鍛える筋トレ方法『4選』

●前腕の伸筋群を鍛えるスリストカールなど4種類を紹介します。
▶※長掌筋を鍛える筋トレ方法とは長橈側手根屈筋同じです
長掌筋(前腕屈筋群)のストレッチ方法『6選』

●前腕の屈曲群をストレッチさせる方法は、肘関節を伸展させて手関節を屈曲させます。ここでは、いくつかの前腕屈筋群をストレッチさせる方法を紹介していきます。
ターゲットとなる部位を絞って重点的に伸ばしてストレッチしましょう。多くの筋肉が集まる前腕の屈筋群の中でも、辛い、重い、痛い、突っ張る筋肉をしぼり、重点的に伸ばすストレッチ種目を紹介していきます。
特に硬いと意識してる部位があれば角度や方向を変えて、そこを集中して伸ばしてみましょう。
▶※長掌筋(前腕屈筋群)のストレッチ方法は長橈側手根伸筋と同じです。
長掌筋の名前の由来
長掌筋は短掌筋よりも長く手のひら(手掌)に付着するのでこの名前がつきました
長掌筋の英語の書き方
『Palmaris Longus Muscle』
・Palmaris:ラテン語の「手掌」
・Longus:ギリシャ語の「長い」を意味しています。
長掌筋の「位置」と「起始部と停止部」は?
位置:長掌筋は前腕の前面の表層にあります。
起始部:上腕骨内側上顆
(じょうわんこつがないそくじょうか)
停止部:手掌腱膜

長掌筋の作用の詳細
長掌筋は手首の前面を通過してるため、手掌が前腕の前面の方へ行かれると、手関節が屈曲します。
・手関節の屈曲
・手掌腱膜を緊張させる
・前腕を曲げる
長掌筋の大きな特徴とは?
実は長掌筋は約15%の人にはありません。この長掌筋の長い腱は、しばしば腱や靭帯の再建術に用いられます。つまり、長掌筋は時に役立つ補助筋とも言えるのが長掌筋の注目すべき点です。
長掌筋の触診方法とマッサージやほぐし方
※撓側手根屈筋と同じです
手関節の屈曲をひとつの筋肉の束として触診することは簡単です。上腕骨内側上顆から遠位に向かって触診すると、前腕前面の近位内側に屈筋群の膨隆を感じるでしょう。
また、手掌をカップ状に丸めたり、手首を曲げたりすると腱を触診することも可能です。筋肉の束の構造は平行状で筋線維の走行は筋肉に対して平行です。
今回は下記のような長掌筋の触診方法とマッサージやほぐし方を解説していきます。
長掌筋の触診方法を解説
肢位:患者さんは仰臥位に寝てもらいます。
患者さんの前腕は回外位(やや外向き)になってもらいます。
1:他動的に肘を曲げて、組織を弛ませます。
2:施術者は患者さんの横、腰の位置に座ります。
3:橈側手根屈筋の筋腹を拇指で確認します。
4:拇指を内側の長掌筋の筋腹に動かします。
5:患者さんはこ拳を作ってもらい、手関節屈曲に対して負荷をかけながら、適切な位置を確認します。

長掌筋の整体、マッサージやほぐし方
※撓側手根屈筋と同じです
前腕屈筋群のほぐし方①屈筋群のストリッピング
1:患者さんに仰臥位をとってもらいます。肘をわずかに曲げて手関節を軽く曲げます。
2:施術者は患者さんの横、腰の位置に立ちます。(座っても可能です)
3:一方の手で患者さんの手を押さえ、、腕を固定します。
4:もう一方の手の指関節または手根を患者さんの掌側の手首に当てます。
5:しっかりと組織を押圧し、指関節または手根をゆっくりと筋肉部に沿って、肘を越えて上腕二頭筋の遠位端まで滑らせます。
6:平行線に沿って、前腕屈筋(前面)を全て施術するまで同じプロセスを繰り返して前腕屈筋群をほぐします。

前腕伸筋群のほぐし方②個々の屈筋のストリッピング
1:患者さんには仰臥位を取ってもらいます。
2:施術者は患者さんの横の腰の位置に立ちます。(座っても可能です)
3:一方の手で患者さんの手を押さえ、腕を固定します。
4:しっかりと前腕の屈筋群を押圧し、拇指、指関節または四指をゆっくりと前腕屈筋の筋肉に沿って、肘を超えて上腕骨の遠位部まで滑らせます。
5:平行線に沿って、前腕の屈筋(掌側)を残らず処置するまで同じプロセスを繰り返します。(最後は尺骨に沿って滑らすことになります)

長掌筋のその他の詳細
▶長掌筋の短縮や伸長による機能低下は?
・短縮:手関節を完全に伸展することが難しくなります。
・伸長:もともと機能が弱い筋肉の為、機能低下を感じないかもしれません。
▶長掌筋の共働筋
・手関節の屈曲:橈側手根屈筋、尺側手根屈筋
▶長掌筋の拮抗筋
・手関節の屈曲:長橈側手根伸筋、短撓側手根伸筋、尺側手根伸筋
▶長掌筋の関連痛領域
・前腕の掌側に沿って刺すような痛み・手掌に集中
▶長掌筋のその他の検査対象筋
・前腕の他の屈筋すべて
・円回内筋
・前鋸筋
・大胸筋と小胸筋
▶長掌筋の神経支配と血管供給
・神経:正中神経 C5~T1
・血管:尺骨動脈