前回はお尻の中でも一番大きな筋肉の大臀筋を紹介しましたが、今回は骨盤の上部にある中殿筋をご紹介していきます。
お尻の筋肉の中臀筋ってどんな筋肉？
中臀筋は骨盤の腸骨稜に沿ってはじまり股関節まで被っている筋肉です。その中臀筋の機能や作用注意すべき点、中臀筋の機能低下で起こる症状やストレッチ方法、中臀筋の筋トレなどを解説していきます。
中臀筋の名前の由来とは？
「中」はこの筋肉が臀筋群の中で中程度の大きさであることを、「臀」は 臀部にあることを示しています。大臀筋より小さく小臀筋より大きいのが中臀筋となります。
中臀筋の作用
中臀筋と小臀筋の作用は、いずれも関節の外転と外旋の機能を持ちますが、これらの筋肉の前部繊維のみが股関節を内旋させます。
それに加え、小臀筋と中臀筋という二つの殿筋は、歩行の際に股関節を安定させる重要な役割を果たしています。
体重がかかっている側の小臀筋と中臀筋が腸骨を引き下げて、反対側の腸骨を上げることで反対側の足を振ることができ、人間は歩くことができるのです。
その分、中臀筋は多くのストレスや負担を抱え、症状もたくさん抱えてしまう筋肉といえるでしょう。
中臀筋の位置
中臀筋は小臀筋の表層の大臀筋の深層に位置し、お尻の筋肉の中層部に存在します。この中臀筋は股関節の外転の主動筋です。
中殿筋の作用や機能
中臀筋は肩関節の三角筋に形や筋線維の走行方向、機能及び作用がとても似ていて同じような動きをします。
三角筋のように中臀筋の機能もまた多岐にわたり、それらは股関節の外転、屈曲、伸展、内旋、外旋を機能や作用をし、下肢の中でも強力で万能な筋肉といえるでしょう。立っている時には中臀筋、小臀筋、腰方形筋の動きにより股関節が内側に保たれています。
中臀筋の筋力が低下すると
中臀筋が弱くなったり負担がかかり機能低下が起きると、片足で直立したり歩く走るなどの動作の際に、骨盤を外旋方向に移動させてしまいます。
特に感じる時は、立った状態で靴下を履く動作などで、体がふらふらしてしまい靴下がうまく履けない状態が中臀筋の弱体化、機能異常と言えるでしょう。
また、歩行時には矢状面での動作をコントロールすることができなくなり、アヒル歩行が起こることが多々あります。
腸骨の外側にある中臀筋と小臀筋の起始は、大腿骨の大転子より上方にあります。それに加えこれらの筋肉は股関節の外を横切っています。そのため、大転子が外側に引っ張られ股関節の外転が起こります。
接地している下肢に体重がかかって大腿骨を動かせないい時、これらの筋は腸骨を引き下げることができます。
中臀筋と小臀筋の前方部は起始が大転子より前方にあるため、股関節の内旋を引き起こしますが、これはこれらの筋肉が大転子を前方へ行くことで、大腿骨が内側へと回されるからです。
中臀筋の大きな特徴
中臀筋が腸骨を引き上げるためこの筋肉の緊張によって、仙腸関節に悪影響を及ぼしたり腰痛を引き起こしたりすることが多々あります。
単純に腰が痛いからといって腰の筋肉だけほぐしても治らない腰痛は、この中臀筋に問題があり腰の筋肉だけほぐしても治りません。
慢性的な腰痛はこの中臀筋をしっかりほぐすのも重要となります。
中臀筋が硬くなる（短縮）：
足の幅が横に広がり股関節が内旋してしまって、つま先が内側に向きます。 股関節の内転と外旋の機能に制限が生じて、腰痛を引き起こす事が多々あります。
中殿筋が弱くなると（伸長）：
大腿を外転させる機能が低下してしまいます。
中臀筋のマッサージやほぐし方
肢位：マッサージされる方を、うつ伏せに寝かせます
1・マッサージされる方の横に立ちたい全部に面して立ちます。指先で腸骨稜の外縁を確認します。
2・指先を大腿骨の大転子に向かって遠位方向に滑らせます。
3・大腿骨大転子の外側面と交わるところまで筋繊維をたどりましょう。
4・ 中臀筋の筋肉の場所を確実に把握するために、負荷を加えながらマッサージされる股関節の外転を行わせ、中臀筋を確認しましょう。
5・大きめの筋肉ですので指圧や肘頭を使い、じっくり奥に届くようにほぐしていきます。
中臀筋のストレッチ方法
この中臀筋のストレッチは、腰痛のケアに欠かせないお尻のストレッチになります.。
腰痛でお悩みの方は、普段のケアとして是非このストレッチをお試しください。
A：あぐらがかけない方におススメのストレッチ方法です。膝を曲げるのが辛い人は無理しないように行いましょう。お尻が伸びて効いているポイントを見つけながらゆっくり行ってみましょう。
①片足を曲げて椅子の上に乗せます
②上半身をゆっくりと前に倒していきます。
背中は垂直になるようにし、骨盤を前に倒すようなイメージで行うとこの中臀筋が伸びます。
B：足を組むことが難しい方は無理にしないように行ってください。
上体を倒す角度によってお尻が伸びているストレッチングの効き具合が変わりますので、自分のレベルに合った角度までゆっくり曲げていきましょう。前に倒せば倒すほど伸びが強くなります。
①椅子に座り伸ばしたい側のお尻の足首を、片方がの太ももの前面にせて足が4の字になるようにセットします。
②そのまま上体をゆっくりと前に倒していくとこの中臀筋が伸びていきます。
深く上半身を倒せば倒すほどさらに強いストレッチングとなります。
中臀筋の鍛え方や筋トレ
中臀筋の筋トレ【バックブリッジ】
カラダで一本のラインを作り体幹の安定性を高めて筋トレする事で、腰とお尻の筋肉を強化し鍛えられます。これをやると、体幹の安定性を向上させるトレーニングになります。
ラインをキープするためには、下から支える腰や背中の筋肉を始め太ももやお腹など、上側の筋肉も使われるので非常に効率的に鍛えられるでしょう。
トレーニングの目安
・2秒かけて背中、腰、お尻をあげる
・体を一本にした状態のイメージを心がけ3秒間キープします
・上記を10回から15回行います
①仰向けに寝て両膝を立てます
膝を立てた状態で仰向けに寝ましょう。両足は骨盤と同じ幅に開きます。
ポイントとしてはスタートの姿勢で背骨や骨盤が傾いていないかよく確認してからスタートします。
②背中を浮かせて3秒間キープ
2秒間かけて背中、腰、お尻を浮かせ3秒間キープします。骨盤が傾かないように注意しましょう。
※体が一直線になっているかで鍛えられ方に差が付きます。身体が一直線でない状態は NG です。
特にそりすぎてしまうと腰に負担がかかるので注意しましょう。骨盤が前後左右に傾かないように意識して行いましょう。
中臀筋の共働筋とは？
股関節の内旋：
・小臀筋
・大腿筋膜張筋
股関節の外転：
・縫工筋
中臀筋の拮抗筋
股関節の外旋：
・梨状筋
・上双子筋
・下双子筋
・大閉鎖筋
・外閉鎖筋
・大腿方形筋
・腸腰筋
・大腰筋
・大臀筋
股関節の内転：
中臀筋の神経支配と血管供給
中殿筋の神経支配
神経支配：上臀神経
中殿筋の血管供給
血管：上臀動脈
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