腰に負担のかかる要因は姿勢によっても左右されます。どのような姿勢や動作が腰に負担をかけているのかを紹介します。
姿勢や動作での腰への負担
椎骨と椎骨の間にある「椎間板」は、衝撃を吸収するクッションの役割を持っています。
その椎間板の椎間板内圧(腰椎:L3–L4付近)を体勢ごとに計測した結果を紹介します。

姿勢別|椎間板にかかる圧力
※基本姿勢は立位=100
①立った時の椎間板の圧力
●まっすぐに立った時…100
●立った状態で前屈…150
●立った状態で後屈…80

②椅子に座った時
「座る=楽」ではない
→ 実は「立つ」よりも座る方が椎間板への圧力は高い
●椅子に深く腰掛ける…110
●椅子に浅く腰掛ける…140
●猫背で座る(前かがみ)…185
●ソファーに浅く座る…170~200
※浅く座る姿勢は要注意
→ 骨盤が後傾し、腰椎の支持構造が崩れるため最大級の負担

③床に座った時
●床に正座した時…125
●床にあぐらをかいた時…145
●床に体育座り…190

④寝る姿勢の時
●仰向けで寝た時…25
●膝を立てて仰向け…15
●横向きに寝た時…20
●うつぶせ寝…30
※うつ伏せは腰だけでなく首に大きなストレスがかかるので要注意
また、内臓も圧迫するのでうつぶせ寝はやめましょう

⑤日常動作や体勢での腰の負担
●中腰…150
●中腰で物を持つ…200〜230
●膝を使いしゃがんで物を持つ…130
●顔を洗う時の中腰…165
●靴下を座って履く…120
●靴下を立って履く…170
中腰動作は腰痛リスクが高い
→ 洗顔や中腰で物を取る動作で痛めやすくギックリ腰にも

⑥仕事・スマホ姿勢
●猫背でのノートPC作業…190
●うつ伏せでスマホや読書…35
●座ってスマホを覗き込む:180
●頭を垂れ下げてスマホ…腰は100前後
※しかし首には高負荷がかかるので要注意
※お仕事やスマホを見る時間の積み重ねは長時間になるので意識が必要

荷物や姿勢で腰への負担はさらに倍増
日常生活で物を持ち上げる時の状況をイメージしてみましょう。
持ち上げる重さがが増えれば増えるほど椎間板にかかる負担はもちろん増加します。
また状態の前傾角度が大きくなればなるほど椎間板への負担は大きくなります。
①重さよりも持ち方が重要
荷物を持ち上げるときは腰を支点に上半身を曲げ伸ばしします
・腰は支点、上半身や荷物は作用点
・荷物が体から離れるほど腰に負担
→ 腰には「重さ × 距離」の回転モーメントがかかります
例えば5キロのお米の袋を持ったとして…
a:5キロの米袋を胸につけて持つ
b:5キロの米袋を腕を伸ばして持つ
→bの方が腰への負担が2~3倍以上かかつてしまうのです。
ですから重い荷物を持つときは荷物を極力自分に近づけて運ぶようにしましょう。
②不用意に持ち上げるとギックリ腰に
中腰で物を持ち上げる時の椎間板の最大許容負荷量は、背中を丸めた悪い姿勢に比べて背中を丸めない正しい姿勢の1/2 しかありません。
この時、お腹や腰に意識を持たず不用意に持ち上げた時に腰が痛くなったりギックリ腰になってしまう原因の1つです。

③椅子に浅く座るのは大きな負担
ソファーに座ったり車を運転してる時の姿勢にも注意が必要です。良い姿勢で運転してる時は椎間板にまんべんなく重さが分散され、走行時の路面からの衝撃はあまりストレスにはなりません。
しかし、悪い姿勢で運転していると椎間板に変形が生じ、さらに路面からの衝撃は椎間板が狭くなっている側にストレスがかかり、椎間板に負担がより多くかかりやすくなります。

体勢別で腰痛にならない方法
腰痛は「同じ腰」でも体勢ごとに負担のかかり方がまったく違います。腰痛にならない対策も体勢別に分けなければなりません。下記を参考にしてください。
①立っているときの腰痛回避
●腰に起きていること
・反り腰や片足重心で腰への負担が大
・骨盤が前傾or後傾で上半身の重さが逃げない
●腰痛にならない立ち方
・耳・肩・股関節・くるぶしが同一線
・みぞおちを軽く引き上げて腹圧をUP
・体重は両足で土踏まず〜かかと中央
●NG行為
・片足重心
・腰を反る
・長時間の直立不動

② 座っているとき(デスクワーク・運転)
●腰に起きていること
・座るだけで立位の約1.4倍が椎間板に負担
・猫背だと腰の筋肉に負担がかかる
●腰痛にならない座り方
・椅子には深く座る
・骨盤は立てて背もたれを軽く使う
・左右両方の坐骨で座る
・膝の位置は股関節よりやや低く
※座りっぱなしが大きな腰痛の原因になるので、30分に1回は立ち上がって腰や背中、肩の筋肉を緩めましょう

③ 前かがみ(洗顔・家事・中腰)
●腰に起きていること
・椎間板への負担は一番強い
・腰だけで曲げるとギックリ腰にも
●腰痛にならない前かがみ
・股関節から折る(ヒップヒンジ)
・お尻を後ろに引くイメージ
・片手を太もも or 台に添える
●NG行為
・膝を伸ばして腰だけを曲げる

④ 物を持ち上げるとき
●腰に起きていること
・瞬間的に腰への負担が数倍〜10倍
●腰痛にならない持ち上げ方
・物を体に近づけて持ち上げる
・床に片膝を着いて持ち上げる
・膝と股関節を使って持ち上げる
・持つ前に息を吐いてお腹に力を
●NG行為
・ねじり+前屈+持ち上げ(最悪)

⑤ 寝ているとき(睡眠姿勢)
●腰に起きていること
・寝返り少ない=血流低下+筋肉の緊張
●腰痛にならない寝方
・仰向け:膝下にクッション
・横向き:膝にクッションを挟む
・寝返りが打てる硬さの寝具
※反り腰矯正で根本改善

⑥ 歩いているとき
●腰に起きていること
・骨盤が左右にブレると腰に負担
・のけ反って歩くと腰に負担
●腰痛にならない歩き方
・歩幅はやや小さめがよい
・かかと→足裏→親指の順番で蹴る
・腕は自然に後ろへ振る

⑦ 長時間同じ体勢のとき(共通ルール)
腰痛を防ぐ最大のコツはこれです。
「正しい姿勢を続けない」
・30〜60分で姿勢を変える
・小さく動く・伸びる・ひねる
・完璧な姿勢より「動くこと」
体勢で腰を痛めない重要なこと
●体勢腰痛を防ぐ最大ポイント
・立つ腹圧+重心中央座る骨盤を立て
・前屈は股関節から曲げる
・持つ時は体に近づける
・寝るはクッション活用
・歩く時は骨盤を安定させる
腰痛でお悩みでしたら志木イーバランス整体院



