腰痛の原因で多い椎間板ヘルニアの発症の原因と対処法を紹介します。

椎間板ヘルニアとは?
椎間板と椎骨に挟まれた組織でちょうどクッションのような働きをしています。
外側は線維輪という組織でできていますが、内側は髄核というゼリー状の組織で椎間板ヘルニアはこの髄核が飛び出した状態をいいます。

椎間板ヘルニアになりやすい場所
椎間板ヘルニアになりやすい場所は
①腰椎4番と5番の間の椎間板
②腰椎5番と仙骨1番の椎間板
③頸椎下部の椎間板
上半身を支えている腰の下部や頭を支えている首の下部に負担がかかり、椎間板ヘルニアになります。

椎間板ヘルニアになる原因
ここでは椎間板ヘルニアになる原因を3つに分けて解説します。
① 椎間板び負担のかかる体勢
・長時間の前かがみの体勢
・猫背座っている時に
・腰を丸めて座る
・中腰での長い作業
・長時間のデスクワーク
・長時間の車の運転

② 椎間板の老化で変性
・椎間板の水分量が減少
・血流が乏しく栄養が届きにくい
・クッション性が低下
・動かさない生活=老化が進みやすい
・インナーマッスルの筋力低下
・活性酸素増加
・遺伝的な要因
・加齢でひび割れが起きやすい
③ 急な動作でもヘルニアになる
・重い物を持ち上げた瞬間
・くしゃみや咳
・洗顔後顔を上げた時
・体をひねった瞬間

※ある日突然痛くなるが、原因は長年の積み重ねによるものが多く、ひどい場合は手術で改善することも多くあります。
椎間板ヘルニアの症状は?
原因としては線維輪に亀裂が入り、その亀裂を通って中心部の髄核がはみ出たりしたり、脱出したりします。
しかもその方向は 運の悪いことに構造的に弱い後ろ側に向かうことが多く、後部を通っている神経根を圧迫して激しい痛みやしびれを引き起こしてしまいます。
各場所によっての症状の出かたを解説します。

腰椎椎間板ヘルニアの症状
・腰痛
・坐骨神経痛
お尻〜太もも
ふくらはぎ〜足先のしびれ
・片側だけ痛む傾向が多い
・足に力が入らない
・足の知覚障害
・前屈で痛みやしびれが増幅

頸椎椎間板ヘルニア
・首や肩の痛みやしびれ
・腕や手のしびれ
・握力低下
・指の知覚障害
・首を動かすと痛みやしびれが増幅

腰椎ヘルニアの診断方法
① 問診(症状の確認)
まずは症状の出方や経過を詳しく確認します。
【よく確認されるポイント】
・腰痛の有無・始まった時期
・お尻〜太もも〜ふくらはぎ〜足先への放散痛(坐骨神経痛)
・しびれ、感覚低下の部位
・痛みが強くなる動作
(前かがみ・座位・咳やくしゃみ)
・排尿・排便障害の有無(※重症サイン)
※片側の下肢に症状が出るのが典型です。

② 身体所見・神経学的検査
神経がどのレベルで圧迫されているかを確認します。
【代表的な検査】
● ラセーグ徴候(SLRテスト)
・仰向けで脚を伸ばしたまま挙上
・30〜70°で下肢痛が出ると陽性
・坐骨神経の刺激を評価
● 筋力検査
・足首を反らす(L4・L5)
・親指を上げる(L5)
・つま先立ち(S1)
● 感覚検査
・太もも、下腿、足の甲、足裏の感覚低下
● 反射検査
・膝蓋腱反射(L4)
・アキレス腱反射(S1)
③ 画像検査(確定診断)
症状と所見を踏まえて行われます。

● MRI検査(最重要)
腰椎椎間板ヘルニア診断のゴールドスタンダード
MRIで分かること:
・椎間板の突出・脱出の有無
・神経根や脊髄の圧迫状態
・ヘルニアのタイプ(膨隆・突出・脱出)
※放射線被ばくなしで軟部組織が詳しく分かります。
● レントゲン(X線)
・椎間板そのものは写らない
・骨の変形、不安定性、すべり症の除外目的
● CT検査
・骨性病変の評価
・MRIができない場合の代替
④ 神経ブロック・補助検査(必要時)
・神経根ブロックで原因神経の特定
・筋電図(EMG)で神経障害の程度を確認
⑤ 重症度判断(要注意サイン)
以下がある場合は緊急対応が必要です。
・排尿・排便障害
・両足のしびれ・脱力
・急速に進行する筋力低下
※馬尾症候群の可能性あり
腰椎椎間板ヘルニアの診断方法には色々ありますが、お医者さんが重視しているのは膝を伸ばしたまま下肢を上げるテスト「SLRテスト」です。
このテストではヘルニアによって圧迫を受けている坐骨神経が引き伸ばされて痛みが出ます。
また、ハンマーを用いて行う腱反射や筋力、知覚などのテストによってもどの部位の神経根が障害を受けているかがわかるので行われます。
腰部椎間板ヘルニアの診断は慣れたお医者さんが行えば、こうしたテストでほぼ正確にその発生部位を診断することができます。
これらでヘルニアが疑われる場合には、さらに MRI検査をしたり脊髄造影検査などの画像検査を行うなどして診断されます。
腰椎椎間板ヘルニアの治療方法
椎間板ヘルニアの治療法はあくまでも「保存療法が基本」です。
しかし、ヘルニアによって尿がたまった感覚がない、尿の出が悪い、尿が漏れる、あるいは便意がないなどの膀胱直腸障害が現れた時は直ちに手術を行います。
ここでは腰椎椎間板ヘルニアの治療方法を解説します。
① 保存療法(まず最優先で行う治療)
●全体の約8〜9割が保存療法で改善
1. 安静・生活指導
・痛みが強い時期は無理な動作を避ける
・前かがみ
・長時間座位
・重い物を持つ動作を制限
・コルセットの使用(短期間)
2. 薬物療法
・消炎鎮痛薬(NSAIDs)
・筋弛緩薬(筋緊張の緩和)
・神経障害性疼痛治療薬(しびれが強い場合)
・痛みが強い場合は一時的に鎮痛剤の強化
3. 理学療法・運動療法
・腰部、股関節の可動域改善
・体幹(インナーマッスル)強化
・姿勢・動作指導(再発予防)
※痛みが強い急性期は無理に行わない
4. 物理療法
・温熱療法
・低周波・超音波
・牽引療法(効果には個人差あり)
② 注射療法(保存療法で改善しない場合)
・神経ブロック注射
・硬膜外ブロック
・神経根ブロック
※強い痛みやしびれを一時的に軽減し、回復を促進
③ 手術療法(ごく一部のケース)
※全体の1割未満
・手術が検討されるケース
・強い痛み・しびれが3か月以上改善しない
・筋力低下が進行している
・排尿・排便障害(緊急手術対象)
【主な手術方法】
・椎間板摘出術(LOVE法)
・内視鏡下椎間板摘出術(MED)
・顕微鏡下手術
※現在は体への負担が少ない手術が主流
④ 整体・カイロ・代替療法について
・痛みの強い急性期は避ける
・回復期〜慢性期での姿勢改善・筋バランス調整は有効な場合あり
・医療機関との併用が望ましい
⑤ 重要なポイント(多くの人が誤解しやすい点)
・ヘルニア=即手術ではない
・画像(MRI)より症状が重要
・飛び出したヘルニアは自然吸収されることも多い
・再発予防には日常動作・姿勢改善が最重要


