今回は「頚板状筋」について説明していきます。
頚板状筋は後頭部で起始部が停止部よりも下方にあるので、両側の収縮時は第1から第3頚椎が、第3から第6胸椎に向かって下方に引かれることで、頚部の伸展が起こります。
また、片方のみの収縮時は、第1頚椎から第3頚椎の外側面を下方に行くことで、頚部の側屈が起こります。
さらに、起始部が停止部よりも内後方にあるため、第1から第3頚椎の横突起が後方に引かれることで、頚部の同側への回旋が起こります。
頚板状筋も頭板状筋も同じ症状が現れます
頚板状筋と頚板状筋は頚部の回旋と頚部の伸展に関与し、しばしば頭痛を引き起こす筋肉です。
頚板状筋の名前の由来
板状筋の板状は、その部分を覆う「包帯」のような形状を表しています。加えて、頚部に付着するので、頚板状筋と呼ばれています。
頚板状筋の英語の書き方
『Splenius Cervicis』・Splenius:ラテン語の「包帯」・Cervicis:ラテン語の「頚部」を意味しています。
頚板状筋の位置と起始部・停止部は?
頚板状筋の位置
頚板状筋は頚部後方にある中間層の筋肉です
頚板状筋の起始部
頚板状筋起始部は第3胸椎から第7胸椎の棘突起
頚板状筋の停止部
頚板状筋の停止部は第1頚椎から第3頚椎の横突起
頚板状筋の作用は
・頭部と頚部の伸展(両側の活動)
・頭部と頚部の側屈(片側の活動)
・頭部と頚部の同側側への回旋(片側の活動)
頚板状筋の役割、機能の詳細
頚板状筋は上位胸椎の棘突起と上位頸椎の横突起を連結しています。線維の走行は垂直で、やや斜め方向であり、強力な伸筋となりますが、回旋筋としてはとても弱いです。
頚椎の横突起の付着部を、後頭部は肩甲挙筋、前部は斜角筋が共有しています。これら3つの筋群の筋力と、柔軟性のバランスが適切である場合は、頚部のアライメントと機能は最も良い状態となります。
頚板状筋は、頭板状筋と直接的な共働筋ですが、より斜めに走行する頭板状筋と比較して、回旋には有利ではありません。さらに、頚板状筋は頭板状筋と肩甲挙筋のちょうど淺井層に位置しています。
頚板状筋の大きな特徴
頚板状筋は、フォワードヘッドの姿勢は頭板状筋と頚板状筋の緊張を高めます。
頚部、体幹、腰部の動きに関与する筋肉
背部にある脊柱の動きに関与する筋肉は、脊柱をしっかりと安定させるために様々なパターンで配列されています。
すなわち、これらの筋肉は動きを生じるだけでなく、姿勢を保持するのに重要な役割を担っているのです。これらの固有配筋の位置や筋線維の方向、機能といった様々な知識は、マッサージに役立つでしょう。
また、固有背筋は主に個別の筋肉としてよりも、むしろをひとまとめの筋群としてマッサージを行いましょう。
頚板状筋を伸ばすストレッチ方法
頚板状筋をストレッチする方法は、頭部と頸椎の最大屈曲によりストレッチされます。首を左回旋、側屈、そして屈曲することにより、右側の頭板状筋がストレッチされます。右方向への同じ動きによって左側がストレッチされます。
胸鎖乳突筋を伸ばすストレッチも一緒に行いましょう
頚板状筋の鍛え方、筋トレ方法
頚板状筋を鍛える筋トレ方法は、まず手を頭の後ろで組みます。次に、頭を前に倒した(頚椎の屈曲)状態から手が加えた力に逆らいながら、ゆっくりと首を最後まで伸展させます。
このエクササイズは、自分の手でおこなう以外にも、パートナーやタオルを使っても上手にできます。
頚板状筋の触診方法
頚板状筋の触診方法は通常困難ですが下記の様な触診方法で頚板状筋を確認してみましょう。
肢位:患者さんに仰向けになってもらいます。
1:患者さんの頭側に座り、両手の手掌を上に向けて患者さんの首の下に手を入れます。指先で第3胸椎から第6胸椎の棘突起を見つけます。
2:指先を椎弓に向けて、外側に動かします。
3:頚椎横突起に向かって、同側の斜走する筋繊維に沿って触れます。
4:適切な位置を確認するため、患者さんが上部を見上げて頭部を回旋することに対して施術者は負荷を加えます。
頚板状筋のほぐし方、マッサージ
今回は次のような頚板状筋のほぐし方、マッサージを紹介します。
頚板状筋は紡錘状筋よりも扁平で中間層にある筋肉のため、付着部に対して軽擦法方や強擦法を行うのが最も効果的なマッサージ方法です。
軽擦法や強擦法は第1頸椎から第3頚椎の横突起周辺や第3胸椎から第6胸椎の棘突起周囲に対して行うのがいいでしょう。
頚板状筋のその他の詳細
短縮や伸長による機能低下は?
・短縮:片側の頭板状筋が収縮すると、短縮を起こした側への頭部が回旋した姿勢を示します。また、頸部の屈曲と反対側への側屈が制限されます。
・伸長:頚板状筋の機能が低下します。
頚板状筋の共働筋
▶頭板状筋
▶後頭下筋
頚板状筋の拮抗筋
頚板状筋の支配神経
・神経:頚部の下位にかけての頚神経後枝
頚板状筋の血管供給
・血管:後頭動脈
関連痛領域
・目
・側頭部、耳から後頭部
・首の顎角部