股関節脱臼は転倒、転落、交通事故、激しいスポーツなど、高エネルギー損傷が原因となることが多いです。
大腿骨頭臼蓋の脱臼骨折となることが多く、また坐骨神経麻痺や大腿骨壊死などの合併症を生じることがあります。
今回は、その股関節脱臼の原因や症状、診断方法と治療方法や股関節脱臼の分類を解説していきます。
股関節脱臼の原因や誘因
交通事故や高所からの転落、激しいスポーツなど、高エネルギー損傷が原因になることが多いです。
股関節脱臼の症状を臨床所見
大腿骨骨頭骨折、寛骨臼骨折、大腿骨頚部骨折を合併することがあります。
坐骨神経麻痺、大腿骨頭壊死、外傷性変形性関節症などの合併症を生じることがあります。
股関節脱臼の検査方法、診断や分類
関節脱臼は、後方脱臼、前方脱臼(上方・下方)中心線脱臼に分類されます。後方脱臼が最も多く、その割合は後方脱臼と前方脱臼で10対1です。
後方脱臼について詳しく解説
・股関節が屈曲位の時に、前方から大腿骨長軸に強い外力が加わった場合に起こります。
・自動車の走行中の交通事故で、ダッシュボードで強く膝を強打した時に起こり、ダッシュボード損傷とも言われています。
・脱臼肢位は軽度屈曲、内転、内旋位を取ります。・トンプソン・エプスタイン分類が用いられます。
トンプソン・エプスタイン分類
股関節後方脱臼の分類としてトンプソン・エプスタイン(thompson&epstein分類)があり、下記のように5つの状態に分類されます。
1型:骨折の合併はありませんが、あったとしても小骨折です。
2型:寛骨臼後縁の単一の大きな骨折を合併しています。
3型:寛骨臼縁の粉砕骨折を合併しています。大骨片があってもよい。
4型: 寛骨臼縁骨折と寛骨臼底骨骨折を合併しています。
5型:大腿骨頭骨折を合併しています。(中心性脱臼を除きます)
前方脱臼について詳しく解説
・股関節が外転、外旋位で外転を強制されるような衝撃を受けた時に生じます。
・脱臼肢位は外転、外旋をとります。
股関節脱臼の検査方法
・単純X線、CT検査で診断します。
・X線では、前後像により、脱臼の場合は輪郭を外れ、上縁に重なって見えます。脱臼骨折の場合は斜位像により骨片が見られます。
・CTでは関節内骨片、周囲の骨折、骨片の大きさなどが詳細に診断できます。3D-CT では立体的に骨折、脱臼の状況が確認できます。
股関節脱臼の治療方法
・大腿骨壊死を予防するために、脱臼は直ちに麻酔下で徒手的に整復します。
徒手整復方法にはアリス方があります。術後は2週間から4週間の介達牽引を行います。10週間から12週間で部分歩行を開始して、リハビリを行います。
・手術が適応となるのは、徒手整復が不可能な脱臼、臼蓋の陥没骨折、関節内嵌入骨折などの場合手術が行われます。
・合併症としては坐骨神経麻痺、大腿骨頭壊死、外傷後変形性股関節症などがあります。