人はなぜ調子の良い時や悪い時、すべてがうまくいく時や、何をやってもうまくいかない時があるのでしょうか?
人間ですから『好調』、『不調』と波があるのは当然ですが、そのメカニズムを知ることができたら、どんなに私たちの日常は快適になることでしょう?
自律神経が乱れると心身の活動が乱れます
実は、体の好調や不調のカギを握ってるのは『自律神経』です。
内臓を動かし、血液を作り、血管の収縮を管理するなど、意思とは無関係に体の動きを司る神経です。自律神経とは、いわば私たちの人間の生きるための活動を支えている源です。
自律神経さえ整っていれば、私たちの体はどんどん美しく、健康的に変化ていくはずです。
また、腸の動きが良くなり便秘が改善します。そして、肝臓の機能が上がり、肌や髪や爪が みずみずしい美しさを取り戻します。
そして、血行不良から生じていた、肩こりや偏頭痛、更年期障害などが改善していきます。 さらにイライラすることがなくなり気分の落ち込みが改善されているでしょう。
その他の、脳の働きが良くなり、勉強や仕事などのパフォーマンスが向上していきます。このように、自律神経とは私たちの心身の好調、不調だけでなく、人生をより幸せ、そして美しく輝かせるための元でもあるのです。
自律神経は交感神経と副交感神経という二種類の神経から構成
自律神経の『交感神経』とは車に例えるとアクセルです。交感神経の働きが上がると体はグンとONの状態になります。血管はキュッと収縮して血圧が上昇し、気持ちも高揚してアグレッシブな方向に向かいます。
一方、『副交感神経』とは、車に例えればブレーキです。副交感神経の動きがあがると、体はリラックス=弛緩の状態になります。血管は適度な状態で緩み、血圧は低下し、気持ちも穏やかになってゆったり落ち着いた方向に向かいます。
そして、車の運転でもアクセルとブレーキのバランスが正しく取れていることが大切なように、自律神経の『交感神経』と『副交感神経』のバランスがとれていることが大切です。どちらか一方の働きに偏った状態が続くと、様々な心身のトラブルが生じてしまいます。
ストレスは自律神経のバランスを崩す一番の原因!
自律神経のバランスを整えるとき最大の敵となるのが『ストレス』ですが、現代社会において全くストレスを感じずに生きるということは、まさに至難の業です。朝起きてから夜寝るまで人間関係のしがらみに優れ先行き不透明な経済状況に見られない方が感じられる情報に振り回される毎日です。
そんな環境は言うまでもなく、『交感神経を優位』にし、『副感神経の働きを下げている』要素に満ちています。しかも副交感神経の働きは、男性で三十歳、女性で四十歳を境にガクッと下がります。
この交感神経優位な状態が実は、万病の元であり、さらには人生におけるすべてのつまずきや、不幸の原因にもなっているのです。
副交感神経の働きを高めると健康になります
副交感神経の働きを優位にできることが、究極の健康法であり、いつまでも「美しく」、「若々しく」、「幸せ」に人生を輝かせる秘訣といえます。
交感神経の働きを高めるには?
交感神経を高め、交感神経の上がりすぎをコントロールするのが音楽です。音楽を聴くだけで、整いづらくなった自律神経は自分で簡単に安定させることができるのです。
さらに音楽に合わせてイメージすることで、自律神経のOFFが活動的になり、理想的なバランスへと整っていくのです。
イメージとは、心の中で様々な情景を思い浮かべ、想像することです。耳からの情報や、自然風景から得られた視覚情報、そして、これまでのあなたの人生経験で得られた記憶を総動員させ、豊かにイメージする力を膨らませてみてください。
どんな人生でも、爽やかな晴れた日ばかりではありません。寂しい雨の日もあれば、曇りの日、こごえる雪の日もあるでしょう。また、全てが激しく荒れ狂う嵐の日もあります。
それらは全てあなただけの大切な人生です。音楽を聴き、自然風景を目にし、過去を回想し、未来を夢見ましょう。 それだけで、全身の細胞の隅々まで質の良い血液が行き渡ってくるでしょう。
そればかりか呼吸も深まり、心地よくリラックスすることができます。乱れた自律神経が自然と理想的なバランスに整えられ、イライラやしつこい怒り、苦しみ、ネガティブな感情が一瞬に消え、心の痛みは人生関係のストレスから解放されていきます。
心身を健やかに若々しく、美しく保つツールとして穏やかな音楽を聴きましょう。
監修:小林弘幸
小林 弘幸(こばやし・ひろゆき)順天堂大学医学部総合診療科学講座・病院管理学研究室教授