日常的なイライラや心身の緊張には、ストレスに伴う自律神経の働きや呼吸パターンの変化が関係することがあります。
そこで注目したいのが、横隔膜の動きを意識した穏やかな呼吸です。ゆっくりと無理なく行う横隔膜呼吸は、身体のリラックス反応を促し、ストレスの軽減を助ける可能性があります。

今回は、横隔膜呼吸と自律神経の関係をひもときながら、心身のセルフケアに取り入れるための基本と実践のポイントを解説します。
イライラ解消は自律神経のバランスが重要
ストレス社会の昨今、自律神経に注目が集まっています。
自律神経は血流や心拍、腸の動きなどを自分ではコントロールできない生きるための機能を整えてくれる神経です。
自律神経の交感神経とは?

交感神経は運動をするときや、緊張・ストレスを感じたときに活発になります。
主に「ノルアドレナリン」という物質などの働きで、心臓の鼓動を速くしたり、血液を送り出す力を強めたりして、体を動きやすい状態に整えます。
また、胃や腸の動きを一時的に抑え、体に蓄えられたエネルギーを使いやすくします。こうした反応は、危険に立ち向かったり、逃げたりする準備として「闘争・逃走反応」と呼ばれます。周囲の変化に対応し、体を守るために必要な働きです。
脳や体が活発に活動する時に働く交感神経は、運動時や緊張・ストレスを感じた際に活動が高まり、主にノルアドレナリンなどの作用を通じて心拍数や心臓の収縮力を増加させ、身体を活動に適した状態へ導きます。
また、消化管の運動を抑制し、エネルギーの動員を促す働きもあります。こうした反応は「闘争・逃走反応」と呼ばれ、環境の変化や危険に対応するために欠かせない生理的な仕組みです。
自律神経の副交感神経とは?

副交感神経は体を休めているときの内臓の働きや、食べ物の消化・吸収を支える役割を担っています。
迷走神経や骨盤内臓神経などを介して内臓に情報を伝え、アセチルコリンという神経伝達物質の作用により、心拍数を落ち着かせ、胃腸の動きや消化液の分泌を促します。
また、交感神経と連携し、そのときの状態に合わせて各臓器の働きを調節することで、体内の環境を一定に保っています。
リラックスに関わるだけでなく、生命を維持するうえでも欠かせない神経です。
自律神経のアンバランスでイライラする原因とは?
自律神経の交感神経と副交感神経は、常にどちらかがONになりどちらかがOFFになっています。
その交感神経と副交感神経は、心と体の健康にとって親密な関係にあります。ストレスの多い 今の時代は多くの方が体調不良を抱え 睡眠の質も悪い状態です。ストレスがかかるとそれに対応しようと 交感神経のスイッチが入り、リラックスするための副交感神経がオンにならず、交換神経が高い状態が続くことがイライラしてしまう原因です。
自律神経のコントロールは横隔膜で!

この乱れた自律神経のバランスを『自分の意志で整えることができる唯一の方法が呼吸』です。
しかし、短く早い口呼吸では自律神経のコントロールには効果がありません…。 横隔膜を動かす腹式呼吸の深い呼吸でないといけません。
横隔膜はどんな役割をしている?
自律神経を整える横隔膜についてもっと知っておくとわかりやすいと思います。
横隔膜は、胸の空間である「胸腔」と、お腹の空間である「腹腔」の間に位置するドーム状の筋肉です。
呼吸を支える主要な筋肉であり、息を吸うときには縮みながら下がり、胸腔を広げて肺へ空気を取り込むのを助けます。
一方、安静時に息を吐くときは横隔膜が緩み、肺や胸郭が元に戻ろうとする力によって空気が押し出されます。
さらに、腹筋群などと連携してお腹の内側の圧力を調節し、体幹や姿勢の安定にも関わっています。横隔膜は、『呼吸と身体の支え』を担う大切な筋肉なのです。
横隔膜の腹式呼吸で副交感神経をONに
横隔膜は自律神経の束が集まっている場所です。横隔膜呼吸で横隔膜を動かすと副交感神経が優位に働くようになり、気持ちがリラックスしていきます。
せっかちな人ほど信号待ちやエレベーター待ちでは横隔膜呼吸を意識しましょう。
すると、気持ちが落ち着いてきます。そんなイライラしそうな時は「横隔膜呼吸をする時間をくれてありがとう」と思うようにしましょう。
ストレスでお菓子を食べてしまう癖がある人は、イラッとしたらぜひ横隔膜呼吸をしてみましょう。
これで副交感神経を優位にすれば、無駄な食欲を抑えられるのでダイエットにも効果があると思います。
イライラを解消する横隔膜呼吸のタイミング

イライラを感じたときは、気持ちを無理に抑え込まず、いったん手を止めて呼吸に意識を向けてみましょう。
仕事で焦りを感じたときや、家事・育児で余裕がなくなったとき、信号やエレベーターを待つ時間などが、横隔膜呼吸を取り入れるタイミングです。
肩の力を抜き、お腹や下の肋骨が穏やかに広がるのを感じながら、楽に息を吸い、ゆっくり吐きます。大きく吸ったり、長く吐き切ったりしようとせず、心地よい範囲で数呼吸から始めてください。
誰かに強い言葉を返しそうなときも、返事の前にひと呼吸おくことで、落ち着いて対応するきっかけになります。イライラした場面だけでなく、休憩中などにも練習して日常のセルフケアとして取り入れてみましょう。
寝る前の腹式呼吸で心身を休める準備をしよう

寝る直前まで仕事や家事、スマートフォンの操作を続けていると、気持ちが落ち着かないまま布団に入ることがあります。
そんなときは、腹式呼吸を取り入れて、心身を休める時間をつくりましょう。仰向けになり、必要に応じて膝の下にクッションを入れ、お腹に手を添えます。
肩や首の力を抜き、鼻から無理なく息を吸って、お腹が穏やかに膨らむのを感じたら、ゆっくりと自然に吐きます。大きく吸い込んだり、息を止めたりする必要はありません。
まずは1〜3分を目安に、心地よい範囲で行ってください。「早く眠らなければ」と頑張らず、呼吸にそっと意識を向けることが大切です。
必ず眠れる方法ではありませんが、緊張をやわらげ、就寝前に気持ちを落ち着かせる助けになります。
腹式呼吸は1日何分・何回?無理なく続けるコツ

腹式呼吸は、長時間まとめて行うよりも、無理なく続けられる形で生活に取り入れることが大切です。
まずは1回1〜3分程度、1日1〜2回を目安に始めてみましょう。
これは効果を保証する回数ではなく、習慣づくりのための目安です。時間を確保しにくい場合は、数呼吸からでも構いません。
朝の身支度の後や仕事の休憩中、寝る前など、行うタイミングを決めておくと続けやすくなります。肩の力を抜き、息を大きく吸いすぎたり、無理に長く吐いたりせず、心地よいペースを意識してください。
めまいや息苦しさが出たら中止し、普段の呼吸に戻しましょう。回数をこなすことよりも、その日の体調に合わせて、落ち着いて呼吸する時間を重ねていくことがポイントです。
横隔膜呼吸でイライラが減るまとめ6つ
① 自律神経は、交感神経と副交感神経が協調して体の働きを調節しています。
② ストレスによる心身の緊張には、呼吸パターンの変化も関係します。
③ 横隔膜は呼吸の中心となり、体幹や姿勢の安定も支える筋肉です。
④ 穏やかな腹式呼吸は、緊張をやわらげ、イライラを落ち着かせる助けになります。
⑤ 仕事や家事の合間、寝る前などに、無理のない範囲で取り入れましょう。
⑥ 時間や回数にこだわらず、吸いすぎ・吐きすぎを避け、心地よく続けることが大切です。
