
痛みに対する感受性が人一倍強く、痛みの原因は腰ではなく心にあることも…ごく軽いものでも、本人には強い痛みを感じることがあります。
心因性腰痛は検査しても異常が見つかりません

心因性の腰痛は鎮痛剤の効果もない、手術しても良くなりません。 頑固な腰痛を訴える人の中に、色々検査をしても、どこにもこれといった異常が無く、効くはずの消炎鎮痛剤も「さっぱり効果がない」という人がいます。
なかには「何回も手術を受けたのにちっとも良くなっていない、ますます悪くなっている」という人もいます。ドクターショッピングと言って、あちこちの病院を巡り歩き、同じような検査と治療を繰り返しても良くならず、病院不信に陥ってる人を見かけます。
このような慢性腰痛は、痛みの原因が腰にあるのではなく、心にあるのです。 すなわち、心因性腰痛と考えられます。「心因性」と聞くと「気のせい」と受け取られがちですが、それは間違いです。実際には痛くないのに、「痛い、痛い」と言ってるのではなく、本当に痛いのです。
要するに、大脳の中の痛みを感じる部分で痛みが勝手に作り出されてしまっているのです。痛みの特徴として、「昨日はひどく痛かったが今日はさほどではない」、「さっきはものすごく痛かったが、今はずいぶん楽だ」、 「じっとしているとずんずん痛むが、そういえば歩いてる時は痛みません」など、痛みの波が極端なことがあげられます。

心因性腰痛のなりやすい人の傾向、タイプは?
心因性腰痛になりやすい人は真面目で几帳面、責任感のある頼れる人に見られます。 一般に、真面目で几帳面、曲がったことが嫌い、完璧主義など、周囲からは責任感のある対応が出る人物だと思われてる人は、反面、融通が利かない、周囲の変化に即応しにくい、などの傾向があります。
こういう人が、仕事のストレスと職場や家庭の人間関係などで悩みを抱えると、血圧が上がったり、胃がキリキリ痛んだりと、体の方に変調をきたすことがあります。中には、食欲がなくなったり、眠れなくなったり、やる気が出なくなったりと、抗うつ状態になることもあります。
こういう状態では、痛みの閾値(痛みを感じるボーダーライン)がぐっと下がってしまいますから、今まで述べた諸々の腰痛のうちのごく軽いものでも、頭の中ではかなり強い痛みとして感じてしまい、これがさらに ストレスになって悪循環になってしまいます。

慢性腰痛の原因の数割は心因性腰痛です
実は、心因性腰痛は珍しいものではありません。これが心因性の腰痛で、心身症の一つでもあります。
とにかく、心因性腰痛の人は。痛みに対する感受性が鋭いのです。言い換えれば痛みの閾値(痛みを感じるボーダーライン)が低いために「痛がり屋さん」の傾向があります。有名な推理文学作家の夏樹静子さんは、この腰痛に悩み、それを見事に克服した過程を「椅子がこわい…私の腰痛放浪記」という本にしました。整形外科専門のお医者さんが読んでも勉強になる良い本だとされています。思い当たる節のある人には一度読んでみることをお勧めします。

心因性腰痛の原因!ストレスを改善、治す方法は?
まずは休暇をとって心身をリフレッシュしましょう。ストレスの原因を自分で探ってみて、可能であれば、まず、それを取り除くことです。
「言うは易く行うは難し」ですが、仕事が多忙で疲れが取れない、能率が上がらない、だけど会社は休みたくない、などと言っていないで、思い切って休暇を取るべきでしょう。 心身をリフレッシュすることは絶対に必要なのです。
ストレス解消にスポーツやレクリエーション、趣味やショッピング、旅行などもお勧めですが、真面目な人は、これさえも一生懸命きちんとやろうとして、新たなストレスを生む恐れがあります。あまり気を張らないで、楽しくやるのがコツです。

心因性の腰痛改善は症状に合わせて治療します
寝れないなら「睡眠導入剤」を使い、抗うつ状態なら「抗うつ薬を処方」してもらい摂取します。
心因性の腰痛では、脊椎や筋肉が炎症起こしてるわけではありませんから、いくら消炎鎮痛剤を飲んでも効果がありません。強力な鎮痛剤の内服薬や座薬が効かない、ということが心因性の診断の助けにもなるくらいです。
さらに言いますと、湿布や塗り薬の方がよく効くという痛みは、心因性の関与が濃厚です。もし、寝れないためにさらに疲れが増して、全身の不調をきたしているのなら、安定剤や睡眠導入剤を服用してでもぐっすり寝ることです。
十分な睡眠が心身を安定させ、自然に回復する方向に働きます。
よく、「副作用が強いから安定剤や睡眠薬は飲みたくない」という人がいますが、心身症をこじらせる方が問題です。正しい使い方をしていれば、まず心配はありません。抗うつ状態が明らかであれば、抗うつ薬も効果的です。
安定剤よりも使い方が難しいので、こういう薬を使い慣れたお医者さんではないと、処方してもらいませんが、劇的に有効なことがありますので、心療内科などの専門の病院を訪れるとよいでしょう。
心身症の根本的な原因が、自分の成り立ちや生き様まで深く関わっていそうであれば、精神分析心理カウンセラーからの、アプローチが必要になるでしょう。なお、ある種の抗うつ薬は、痛みの門(痛みを感じる伝達の通り道の門)を閉じる指令に作用しますから、うつとは無関係に慢性の腰痛を抑える効果があります。
